私のバレーには、いつも。 ページ30
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「せんぱいッ…ごめんなさ、最後ボール、追いつけんくて…ッ」
「何言うてん。変なところ弾いた私悪いんや…やからそんな泣かへんの〜」
「うぅっ、先輩と、もっとバレーしたかった、です…」
「ふふ、ありがとお。けどけじめやからな。来年楽しみにしとるで」
準々決勝で負けた私達は、後ろ髪を引かれる思いでコートを立ち去った。
そして、わんわん泣き続ける後輩に寄り添っていた。
「なんか、終わったーって実感ないから明日も部活来そうやわ」
「分かる」
「…さきちゃん、3年間ありがとうな。たまに八つ当たりしてごめん…
でも、さきちゃんと一緒にプレー出来て良かった」
「〜っ、別にもう気にしてへんし…急に泣きそうになること言うんやめや」
コツリと拳をぶつけて、笑い合う。
入部した時からの思い出が溢れて、私の心を刺激した。
「(…アカン。ボロ泣きしそう、)」
ちょおトイレ、とさきちゃんに手を振り歩き出す。
1人、歩く廊下は広く感じて。
何だか暗くて、足音は早くなる感じがして。
「…あーー…くやしい、」
結局、1人では着飾れんかった。
はあ。とため息をつけば、
突如、目の前に人影が2つ。
「…お疲れさん、(人1)」
「ええ試合やったで」
「練と、北…」
「おん」
部活のジャージに身を包んだ2人が目の前におって、
何だか安心感でいっぱいやった。
「(人1)、お前スパイクまで打てるようなっとったんか」
「おん…実はこの前始めたばっかやねんけどな」
「ずっと泣いとった(人1)がなあ…強くなったな」
「親戚のおじさんみたいに言うんやめや」
練がおじいちゃんみたいに見えて思わず笑う。
そして、練の手をそっと握った。
「練、」
「なん?」
「…私に、バレーボール教えてくれてありがとう」
バレー教室に通い始めたのも、練の誘いがあったから。
うまくプレーできない時に、教えてくれたのも練だった。
身長差はかなりついてしまったけど、
私のバレーには、いつも練が側にいた。
だから、頑張れたんや。
「…なんや、まじまじと言われると照れるな」
「顔えらいことなってんで。写真撮って角名くんに送ったろ」
「やめや筆箱事件話すぞ」
「やめろ」
練は愉快に笑って、
ほな俺先行くな、と、
チラリと北を見て行ってしまった。
残される、私と北。
ゆっくりと、視線が絡まった。
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ミカ(プロフ) - 本当にこの作品を読んでいる時間が最高でした!シリーズの中でこのお話が一番好きだなって思いました。花言葉で心情の変化をを表したりするところ、流石です!!!セリフ一つ一つに深い意味が込められていて素敵でした!あと、私も北信介って名前の響き好きです(笑) (2020年5月25日 21時) (レス) id: ee1104400e (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 狐さん» ありがとうございます!語彙力!笑 嬉しいですありがとうございます^ ^ 出来たので是非読んでみてください〜!! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - しぃらさん» ありがとうございます!大丈夫ですか生きてください…!ふいに北さん花絶対似合う、って思ったら調べるのにめちゃ時間かかって後悔したんですけどね(・・;) 影山くんの小説もぜひぜひ!読んでくださいね! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - チベットさん» ありがとうございます!いや小説出すほどのレベルじゃないですまじで笑 実は名前にも意味があるんです、キタキツネの天敵は犬らしいので…^ ^ 影山くんの小説でも探してみてくださいね (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 虹華さん» コメントありがとうございます!最後の告白のところは実は書き始めたときからもう決めてました笑 意外とギザな告白好きそうだなって…笑 影山くんの小説もぜひぜひ読んでくださいね^ ^ (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2020年5月3日 22時