喜々として塞ぐもの。 ページ24
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嫌なこと、というのは来て欲しくない時に自分に襲いかかり、
明るく照らされている目の前の道を喜々としたように塞ぐ。
見えない。
見えない。
私は今___なにをやっている?
「アウト!!」
「…チッ、」
「どんまい(人1)!切り替え!!」
「…」
インターハイまで1週間を切った。
私達に余裕なんてもんはなくて、ひたすらに練習、練習、練習の繰り返し。
負けたくない。勝ち進みたい。
でも今のままではいけない。強くならなくては。もう時間がない。早く!
その焦りと不安が、プレッシャーとなり、
負の連鎖へと、私を手招きする。
「(インハイまであと5日なんに、まだ、問題点は山積み…
どうしたらええんや…?)」
練習が終わってみんなが体育館を出て行っても、
私はそこから動けずにいた。
「(…私が、しっかりせんと。強くあらんと…)」
「(人1)?まだ帰らへんの?」
「自主練してく…」
「またぁ?昨日も20時過ぎまでサーブ練しとって顧問に怒られたんやろ?
オーバーワークやで、今日は帰、」
「そんな暇あらへんのや!!!!」
ゆらりと、
私の大声に、何気なく声をかけてくれたさきちゃんの目が、戸惑いがちに揺れる。
そらそうや。大声なんて滅多に出したことないもんな。
それでも、今の私は胸から溢れ出す醜いモノを堰き止められずにいた。
「そんな暇、あらへん。私は負けたくないんや。強くあらないかんのや」
「アンタな、」
「…ごめんさきちゃん。言いたいこと分かんねん。
分かるんやけど、今まともに思考働いてへんから…ちょお、1人にさせて」
今話すときっと傷つけてまうから。
下を向きながらそう言えば、さきちゃんは軽く息を吐いて、
『ほどほどにな。あと心配はしとらんから』とだけ言い残して去っていった。
「(ごめん、さきちゃん…ごめん、)」
ほろり、涙を流しながら、
私はただがむしゃらに、何かを断ち切るように、サーブを打つ。
「ッ…何が、主将や…こんなみっともなくって、ちっぽけで…
未熟なくせに、プレッシャーばっか感じよって…」
止まらない涙。
留まることを知らないネガティブな思考。
もう、____
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「…まだ残っとったんか、犬塚」
「…き、た」
ふいに聞こえた、凛とした声は
私の視界を、ゆっくりと切り開いた。
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ミカ(プロフ) - 本当にこの作品を読んでいる時間が最高でした!シリーズの中でこのお話が一番好きだなって思いました。花言葉で心情の変化をを表したりするところ、流石です!!!セリフ一つ一つに深い意味が込められていて素敵でした!あと、私も北信介って名前の響き好きです(笑) (2020年5月25日 21時) (レス) id: ee1104400e (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 狐さん» ありがとうございます!語彙力!笑 嬉しいですありがとうございます^ ^ 出来たので是非読んでみてください〜!! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - しぃらさん» ありがとうございます!大丈夫ですか生きてください…!ふいに北さん花絶対似合う、って思ったら調べるのにめちゃ時間かかって後悔したんですけどね(・・;) 影山くんの小説もぜひぜひ!読んでくださいね! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - チベットさん» ありがとうございます!いや小説出すほどのレベルじゃないですまじで笑 実は名前にも意味があるんです、キタキツネの天敵は犬らしいので…^ ^ 影山くんの小説でも探してみてくださいね (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 虹華さん» コメントありがとうございます!最後の告白のところは実は書き始めたときからもう決めてました笑 意外とギザな告白好きそうだなって…笑 影山くんの小説もぜひぜひ読んでくださいね^ ^ (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2020年5月3日 22時