馬鹿みたいだ、 ページ23
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「へぇ…あの北くんがそないこと」
「おん…そらもうビックリしたわ」
「あ〜あ…何で私そない時に限っておらんのやろ…」
「呼び出しやからしゃーないやんか」
次の日、食堂で私はさきちゃんに昨日の出来事を話した。
さきちゃんは先生に呼ばれとって昨日の練習は参加しとらんかったし、
今日の朝練で話そうかと思うたけど後輩指導に忙しそうやったからやめた。
そして今。絶好のタイミングや!と、
お昼休みに私はさきちゃんをとっ捕まえて食堂に連行したのであった。
さきちゃんと話しながらチラ、と少し遠くにあるテーブルを見れば、
そこにはいつもと変わらずに背筋を伸ばしながらみんなと食事をする北がおった。
「もう大耳くんの言うとった通りやん。付き合えば?」
「え、何でそうなるん…」
「いやならんほうがおかしいやろ」
「いや…やって、普通に考えて、北が女の子と付き合うと思う?そもそも恋愛感情抱くんか?」
あの機械みたいな、完璧な、北信介が。
いや最近は、ふわりと笑うのを多々見てきたから、
あんま機械みたいや、とは思うことは少なくなってきたけど。
それでも、きっとこれは"そう"ではない、と。
あの時の胸の痛みを無視して、私は自分にそう言い聞かせた。
「…分からんよ?北くんやって人間やし。完璧に見えてもそういう感情くらいは抱くと思うで」
「いや…きっと北にとって昨日の"嫉妬"はきっとアレやと思う、」
「アレ?」
「…"オトモダチ"としての嫉妬?
ほら、女子でよくあるやろ。仲ええ子が他の子と仲良うしとったら複雑な気持ちなるやつ」
ハンバーグを口に運びながら、私は更に続ける。
「北とはな、部活の悩みとか、練習方法とか、些細なことまで話し合ってきた仲やねん。
…今は言い争いしかしとらんけど」
「せやな」
「…きっと、北はそんな感情で"嫉妬"言うたんちゃうと思うねん。
動揺して、もしや…と考えてしまったアホな私おったけど…やっぱりちゃうわ、うん。私如きには抱かん絶対に」
「考えとったんやんか。ほらやっぱりアンタ北くんのこと好きやねんな」
「ちゃいます〜」
それでも、脳裏には、
あの時の北の、見たこともない顔が浮かび上がって。
「(北のアホ…何で普通な顔しよるんや)」
私だけが、動揺して、少し意識してしまって。
馬鹿みたいだ、と自分を嘲笑った。
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ミカ(プロフ) - 本当にこの作品を読んでいる時間が最高でした!シリーズの中でこのお話が一番好きだなって思いました。花言葉で心情の変化をを表したりするところ、流石です!!!セリフ一つ一つに深い意味が込められていて素敵でした!あと、私も北信介って名前の響き好きです(笑) (2020年5月25日 21時) (レス) id: ee1104400e (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 狐さん» ありがとうございます!語彙力!笑 嬉しいですありがとうございます^ ^ 出来たので是非読んでみてください〜!! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - しぃらさん» ありがとうございます!大丈夫ですか生きてください…!ふいに北さん花絶対似合う、って思ったら調べるのにめちゃ時間かかって後悔したんですけどね(・・;) 影山くんの小説もぜひぜひ!読んでくださいね! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - チベットさん» ありがとうございます!いや小説出すほどのレベルじゃないですまじで笑 実は名前にも意味があるんです、キタキツネの天敵は犬らしいので…^ ^ 影山くんの小説でも探してみてくださいね (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 虹華さん» コメントありがとうございます!最後の告白のところは実は書き始めたときからもう決めてました笑 意外とギザな告白好きそうだなって…笑 影山くんの小説もぜひぜひ読んでくださいね^ ^ (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2020年5月3日 22時