好物頂上決戦【北 信介】

名前を呼ぶ、凛とした声。 ページ3

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北信介。



その名前を初めて聞いたんは、高校2年生の夏やった。




インターハイが終わって上の学年が引退して、

新しい体制で部活が始まる、という時やった。







「え、私がですか…？」

「おん。俺も主将にするんなら犬塚かなあ思うてたし、他のみんなにも聞いたけど誰も文句言うやつおらんだし？」


「えぇ…そうなんすか」








コーチと監督に言われて渋々、分かりました…と返事をする。




女子バレー部は、まあそこそこ強い方やと思うけど、

男子バレー部に比べたら全然や。



男バレが易々と乗り越える県大会の壁を、

私達女バレはなかなか乗り越えられずにいる。









「…と、いうわけで。あれよあれよという間に主将になってもうたわ」

「ほー。凄いやんか」

「いや真顔で言われても困るんやけど。ホンマに思うてる？練、」

「思うてるって。(人1)、お前何年幼なじみやっとるねん、俺が表情かたいんくらい知っとるやろ」

「そうやけど…いやもうそんなんどうでもええわ！話脱線したやんか…」







数日後、昼休み。


廊下でたまたま鉢合わせた、幼なじみの大耳練をとっ捕まえて、見上げながら話をする。


練も私も、小さい頃からバレーをずっとやっとって。

私は恵まれんだけど、練はとことん身長に恵まれて今では190センチを超えた。






「…そういえば、男バレは？主将決まったん？」

「おう、何とか決まったで」

「誰なん？尾白くんとか？あー、でもあの喧しい双子おるからなぁ…尾白くんはなぁ…」

「アランに失礼やろ…主将は北や」

「北？」

「北信介。クラス離れとるしレギュラーとちゃうから俺もあんま話したことなかってんけど、」








北信介。


そんな名前の人、ウチの学年におったかなあ…と首を傾げるくらい、本当に知らなかった。


写真とかないん？と練に聞こうとした時、









「犬塚、(人1)さん」









凛、とした声で名前を呼ばれ、


振り向けば、そこにいたのは、









「…女バレの主将やろ？顧問が呼んどったで」

「あ、おん…ありがとう、えっと、」



「あぁ、すまん。誰か分からんかったよな。








…男子バレー部の主将の、北信介や」









俺も一緒に呼ばれてん。行こうや、と相変わらず凛とした声で話す北くん。









第一印象は、









「(…真面目そうやな、)」

北信介は優しい人。→←設定&必読。

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