好物頂上決戦【北 信介】

ドがつくほど真面目。 ページ11

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「何やねん、変な声出して」

「いや足音もなしに急に横から声かけられたらそら変な声出るやろ！忍者かアンタは！」

「せやなあ…前世は忍者だったんかもしれへんな」

「アンタそんな冗談っぽい事も言えるんやな…」







ん？と首を傾げて、私の言っていることを理解しとらん北は、

何やもう天然なんか何なんか分からんかった。

てか北の表情変わらなすぎてぶっちゃけ怖いんやけど？冗談っぽいこと言うとるんに真顔とはいかほど。







「…で。お前は結局何しとるんや。練なら帰ったで」

「別に待っとらんし…課題部室に置き忘れてん。あと鍵と日誌届けに行かなあかんねん」

「自主練しとったんか？」

「おん。インハイの県予選まであと1ヶ月くらいしかないからな」

「オーバーワークはあかんで」

「北に言われんでも分かっとります〜」







そういうアンタは何しに残ってんねん、と聞けば、

今更何聞いてんねんと言わんばかりにしれっと「今はトイレの掃除しとったわ」と言った。




ああ…"儀式"か。

私は練から北のことを聞いた時のことを思い出した。








『信介のモットーは"ちゃんとやる"や。

自分を構築しとるんは日々の行動の積み重ねや、って本人が言うててな。

やから、体調管理も、掃除も、挨拶も、バレーも。

たまには手抜いてええんちゃうか、って言いたいくらいホンマにちゃんとやっとんねん』









「…ホンマにドがつくほど真面目やな、北は」

「そうか？普通やろ」

「これが普通であってたまるかいな」







途端、冷たい風が吹き抜けて思わずぶるりと震える。


少し暖かくなってきたといえ、まだ5月。

まだまだ長袖は手放せん。









「…寒いから帰るわ。北もはよ帰った方がええよ」

「せやな。もう部室も鍵閉めるだけやし…あ、犬塚」

「なに」

「ちょおそこで待っとれ、」









北は少し早足で部室へ戻って行って、

5分もしないうちに着替えて出てきた。




電気を消し、鍵を閉め、

また早足で戻ってくる。









「待たせたな。ほな行こうか」

「行こうか、って、まさか…」

「日誌と部室の鍵。返しに行くんやろ？俺も返しに行かんなんし」

「いや、私のこと待たせんでも良かったやん？」


「ああ、暗いから家まで送ってくで。その為に待っとってもろたんや」









さらり。そう言いのけた北に、



私は開いた口が塞がらなかった。

ユリとカスミソウ。→←流石の北でも。

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