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「………ん、」
いつの間にか、眠ってしまっていたみたいだ。
どことなくいい香りにくすぐられて、私は目を覚ました。
「……19時」
時計を見てため息をつく。
誕生日なのに時間の使い方を間違えているようだ。
「…てか何このにおい、」
香ばしいような、甘いような。
カタ、カタ、と割とすぐ近くで聞こえ＿＿＿誰かいる…？
その結論にたどり着いた時、急に怖くなって。
握り締めた臣のシャツを羽織ったとき、
ガチャリ。ドアが開いた。
「……あ、起きてる」
「え…なん、で……臣、」
「うん、俺」
なんで？どうして？
そう思ったけれど声は出なかった。
でも、なんで？来れない、って。私を散々な目にあわせたくせに。
はくはくと意味のない呼吸を繰り返していると、
一歩ずつ、臣がベッドに近づいてきた。
嬉しいはずなのに、嫌なものが横切って、それと手を繋ぐ。
振り切りたいのに離してもらえない私は、フイッと臣から視線を外す。
「…(人1)」
「……」
「こっち向いて」
「やだ、」
「……分かった、」
そう言った直後、ベッドがギジリと音を立てる。
確認する前に、臣はスッと私の背後にまわって、後ろからギュッと私を抱きしめた。
苦しい。
なんで？
嬉しい。
いやだ、
「……離して、」
「絶対やだ」
「っ……意味わかんないよ！誕生日なのにおめでとうも言われなくて！連絡も何一つなくて…！
もう潮時かな、なんて思ったのに…！急に現れてそのくせ離してくれないとか、
……ホント、意味、わかんな……ッ」
臣も、私自身も、意味がわからない。
感情はぐっちゃぐちゃ。嬉しいのか楽しいのか苦しいのか怒ってるのか、何一つ分かっていない。
ただ、触れる熱だけが、正しさを証明していた。
臣は私の肩におでこをつけて、
小さく息を吐いた。
「……不安にさせて、ごめん」
「……」
「でもどうしても、(人1)に渡したいもの、あって」
それ、探しに行ってた。
臣のその言葉に、私の目が見開かれて。
思わず後ろを向く。
「…やっと、こっち向いた」
「おみ、」
「…誕生日、おめでとう、(人1)」
生まれてきてくれて、ありがと。
毎年おめでとうの後に言われるそれは、
＿＿＿誰に言われるどの言葉よりも、幸せを噛みしめられるのだ。
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くまとも(プロフ) - 作者さんの表現、私は好きです。文学小説みたいに少し難しいですが、情景は浮かんでくるし言葉の表し方がすごい好きです。 (2022年4月9日 10時) (
レス) @page37 id: d164243b11 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - らいすさん» リクエストありがとうございます！了解しました！楽しみにしててください(^^) (2020年8月14日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - smile0312さん» 嬉しいです！本当に素敵なリクエストありがとうございました(^^) またお願い致します！！ (2020年8月14日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
らいす - 突然失礼します！宮治で喧嘩＆嫉妬編みたいです！よろしくお願いします！ (2020年8月13日 22時) (レス) id: 353c3ad3a3 (このIDを非表示/違反報告)
smile0312(プロフ) - 早速リク消化ありがとうございました！！ニヤケながら読ませていただきました！またなにか思いついたらリクエストさせていただきます！ごちそうさまでした (2020年8月13日 5時) (レス) id: 5bb02e7866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるか
| 作成日時：2020年7月22日 18時
