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佐久早side
(人1)の淡いグレーのワンピースが風に靡いている。
キラキラとした目で淡く光る貝を見つめる姿が、どこまでも眩しかった。
本当に楽しいんだろうな、って呆れるほどに伝わってくる。
それが、分かっているのに。
人混みにも行けなくて、
海に来ても、海に入れない。
"＿＿臣でも多分、行けると思うんだよね"
そう笑ってデートを提案する(人1)が、愛おしくて、
…やけに、苦しい。
1年付き合って、(人1)を分かったつもりでいても、
本当はデートらしい場所に行きたいんじゃないか、と思ってしまう。
(人1)は俺の言葉にキョトンとして、
淡さを手にしたまま、隣に座った。
「我慢って？」
「…本当は、海に入りたいんじゃないのか、って。
それと、もっと水族館とかテーマパークとか…らしいとこに行きたいんだろ」
ふい、と(人1)から視線を逸らして反対を見る。
みっともない感情だと知って。
すると、横から(人1)の手が伸びてきて、
俺の視界に横向きの携帯が映った。
カシャッ
「おっ、いいね。イムスタグラムに載っけよっと」
「やめろよバカ消せ」
「やーだ」
携帯を奪おうと伸ばした手は空を切って、
その手をすかさず(人1)が掴んで、引く。
まるで、スローモーションみたいに、
2人、シートの上に倒れ込む。
砂が、足や腕に絡む感覚がした。
「…特別じゃなくたっていいよ」
「は？」
「臣が隣にいるなら、場所なんて関係ない」
…やっぱり、眩しい。
掴んだままの手は、いつの間にかまた、指同士が絡まっていた。
「…まあ臣と水族館とか、憧れるけど」
「……」
「でも、こんな小さな楽しさは、きっと臣とのデートでしか見つけられないと思うんだ」
散らばった桜貝、
見え隠れするカニ、
不格好なサンドイッチ。
「…嫌だったら1年も隣にいないって気づいてよね」
「…言うようになったなお前」
「伊達に1年一緒に……イダッ！？ちょ、何首に噛み付いてんの！？サカんな！」
「お前が悪い」
「うそ〜…」
そう、(人1)が悪い。
また、俺の心に優しく溶け込んでいくから。
「(…きっと、もう、コイツを手放せない)」
桜貝は、アクセサリーにしよう。
＿＿恋人へのプレゼントは、淡くて、確かなものに。
淡くて確かなもの -fin.-
※リクありがとうございました！
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くまとも(プロフ) - 作者さんの表現、私は好きです。文学小説みたいに少し難しいですが、情景は浮かんでくるし言葉の表し方がすごい好きです。 (2022年4月9日 10時) (
レス) @page37 id: d164243b11 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - らいすさん» リクエストありがとうございます！了解しました！楽しみにしててください(^^) (2020年8月14日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - smile0312さん» 嬉しいです！本当に素敵なリクエストありがとうございました(^^) またお願い致します！！ (2020年8月14日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
らいす - 突然失礼します！宮治で喧嘩＆嫉妬編みたいです！よろしくお願いします！ (2020年8月13日 22時) (レス) id: 353c3ad3a3 (このIDを非表示/違反報告)
smile0312(プロフ) - 早速リク消化ありがとうございました！！ニヤケながら読ませていただきました！またなにか思いついたらリクエストさせていただきます！ごちそうさまでした (2020年8月13日 5時) (レス) id: 5bb02e7866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるか
| 作成日時：2020年7月22日 18時
