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「……京治は人間だよね？」
「…え、何？とうとう頭おかしくなったの？」
「いや違うけど…そういう発想しかできないの？」
「(人1)が意味不明なこと聞くからだろ…」
はあ、と京治はため息をつく。
…ため息をつきたいのは私だ。
日誌を閉じて、職員室に出しに行くために立ち上がる。
「5分で行こうか」
「いや無理じゃん？私もともと別件で先生に呼ばれてるんだし」
「せっかく部活休みなのに。(人1)のバカ」
「真顔でそんなこと私に言われても困る」
じゃあ教室で待ってる、と言われて、私は頷きヒラヒラと手を振り教室を出ていく。
どこも部活は休みらしく、廊下を歩く人はまばら。
静けさを噛みしめながら、1人、歩いて。
手遊びするみたいに、意味もなく日誌をペラペラとめくって、
何日か前に書かれた京治の記入したページを見つけて、その綺麗な文字に、はた、と手が止まった。
「……やっぱり、完璧すぎる」
.
「気をつけて帰れよ」
「はあい。失礼します」
職員室から出ると、窓に映る陽はすでに眩しいほどの茜色だった。
最近はまた、陽が落ちるのがはやい。
待たせちゃったな、と罪悪感を抱いて、少し早歩きで教室へと向かう。
「京治ー、またせ、」
「あはは、本当？意外だね、赤葦くんもそんな顔するんだ」
「…まあね、あんまり人には見せたくないんだけど」
待たせてごめんね、って、言えなかった。
力を急にどこかに持っていかれたみたいに、立っているのが難しいと感じてしまう。
バク、バク。心臓が変な風に音を立てる。複雑なのに、逸らせなかった。
京治が、クラスの女子と話している、のだけれど、
「(…なに、あの顔…見たことない、)」
目尻を少し下げて、微かだけれど、歯を見せてはにかむように静かに笑う京治。
付き合う前も、付き合ってからも。
そんな表情は、見たことがなかったのだ。
「(……彼女の私じゃなくて、その子にそんな顔を見せるの…？
…どうしよう、不安になって、きちゃった…)」
いつだって涼しげで、無駄一つなくって。
そんな彼も、好きだけれど。
＿＿物足りなくて、醜くなるのは、やっぱり欲張りなの？
暗く、黒く、愚かな感情。もがくほど口の中、苦くなって、溺れてる。
自信のない足先がズン、と重く感じて、黒の深淵に飲み込まれていった。
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くまとも(プロフ) - 作者さんの表現、私は好きです。文学小説みたいに少し難しいですが、情景は浮かんでくるし言葉の表し方がすごい好きです。 (2022年4月9日 10時) (
レス) @page37 id: d164243b11 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - らいすさん» リクエストありがとうございます！了解しました！楽しみにしててください(^^) (2020年8月14日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - smile0312さん» 嬉しいです！本当に素敵なリクエストありがとうございました(^^) またお願い致します！！ (2020年8月14日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
らいす - 突然失礼します！宮治で喧嘩＆嫉妬編みたいです！よろしくお願いします！ (2020年8月13日 22時) (レス) id: 353c3ad3a3 (このIDを非表示/違反報告)
smile0312(プロフ) - 早速リク消化ありがとうございました！！ニヤケながら読ませていただきました！またなにか思いついたらリクエストさせていただきます！ごちそうさまでした (2020年8月13日 5時) (レス) id: 5bb02e7866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるか
| 作成日時：2020年7月22日 18時
