・ ページ23
.
「くらえ！ゆうせいレッドのウルトラビィム〜〜！」
「ウッ…死んだ、」
「ちがうぅ〜！パパはこうげきをバリアするの〜〜！」
「待ってその流れ3回目だろ…」
カク、と美臣を背負いながら膝をつく。
普段休みでも身体を休めるのが最優先な俺が面倒を見るというのが物珍しいのか、
(人1)が出て行った後、悠聖は「戦隊ごっこがしたい」とキラキラした目で俺の左手をぎゅっと握ったのだった。
まあ、それくらいなら。
そう思った1時間前の自分をぶん殴りたい。3歳児を舐めさくっていた。
同じ事を繰り返しているのに全く飽きない。自分も3歳の頃はこうだったのだろうか。いや、もう記憶にないから知らない。
これならバレーをしたほうがずいぶんマシだ、と生き生きとした悠聖の顔を見て思った。
普段(人1)がサボりがちな場所を掃除できたら、なんて考えすらも、浅はかだった。
.
「悠聖、昼飯何がいい」
「ママのオムライス〜」
「作るのパパなんだけど」
「え〜、じゃあパパのオムライス…」
「残念そうに言うのやめような」
冷蔵庫をあさりながら悠聖と会話する。
(人1)のオムライスは美味いよな、分かる。というか手料理は勉強した、と言ってただけあってほぼ美味い。煮物とか、特に。調子に乗るからあんま言わないけど。
材料を切り終えて、さあ作るぞ、という時。
背中で眠る美臣が突然ぐずぐずと泣き始めた。
「みっちゃん、どうしたのー？」
「多分ミルクだな、今作るから、」
そのタイミングでインターホンが鳴る。モニターを見れば、宅配便。嘘だろ、このタイミングで？
とりあえず美臣を悠聖に預けて、宅配便を受け取ってすぐ戻ろう。
そう思い悠聖のいる場所を見れば、何やらモジモジとして急に覇気をなくしていた。
「パパぁ…」
「なに、」
「おしっこ、したい…」
なぜこのタイミングなのか。俺は頭を抱えた。
優先順位なんて知らない。
「…あと2分くらい我慢しろ、悠聖」
「えぇ…むりだよお、」
「ごめん、パパもこの状況に困惑してる」
ギャン泣きする娘を背負ったまま、玄関の扉に向かって走った。
「あっ、どうも〜。宅配便で…ヒッ！」
「…すみません、手短にお願いします」
「あ、はい…その、大丈夫ですか？」
「大丈夫じゃないです」
「ですよね…」
俺と同じ歳くらいの宅配便の人は、
少し哀れみの目を俺に向けていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 930人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くまとも(プロフ) - 作者さんの表現、私は好きです。文学小説みたいに少し難しいですが、情景は浮かんでくるし言葉の表し方がすごい好きです。 (2022年4月9日 10時) (
レス) @page37 id: d164243b11 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - らいすさん» リクエストありがとうございます！了解しました！楽しみにしててください(^^) (2020年8月14日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - smile0312さん» 嬉しいです！本当に素敵なリクエストありがとうございました(^^) またお願い致します！！ (2020年8月14日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
らいす - 突然失礼します！宮治で喧嘩＆嫉妬編みたいです！よろしくお願いします！ (2020年8月13日 22時) (レス) id: 353c3ad3a3 (このIDを非表示/違反報告)
smile0312(プロフ) - 早速リク消化ありがとうございました！！ニヤケながら読ませていただきました！またなにか思いついたらリクエストさせていただきます！ごちそうさまでした (2020年8月13日 5時) (レス) id: 5bb02e7866 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はるか
| 作成日時：2020年7月22日 18時
