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すれ違う恋路。 ページ39

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赤葦side




「あれ、赤葦くん。部活は?」

「羽鳥さん。今日は点検で休み」

「そっか…帰らないの?」

「(人1)待ってるから」





(人1)の名前をだすと、羽鳥さんは、そう…と、何か考えているような表情になった。





「赤葦くん」

「ん?」

「兎川さん待ってる間だけでいいから、ちょっとここら辺教えて欲しくて…」

「…いいよ」





ありがとう!と言って羽鳥さんは教科書片手に俺に近づいて、

ここが…と教科書を指さす。





フワリ、と鼻をかすめた香りは今流行りの香水だろうか。



「(ちょっと香りがキツいな…(人1)の髪の方がよっぽどいい香りする…

いや、変態か俺は…)」





無表情でそんな事を考えていて、

(人1)に早く会いたいなと思った。








「ありがとう赤葦くん、助かった〜」

「全然いいよ…それより、俺ずっと羽鳥さんに聞きたいことあったんだけど」

「なに?」









「本当は、分からないなんて嘘でしょ」

「!」

「…やっぱり」





薄々気づいていた。



彼女は、俺が教えるとすぐ理解した。

応用問題も難なく解けるほどに。



最初は理解力が優れているのかと思ったけどそうじゃない。

元からすでに理解しているんだ。


つまりは、わざと。





「…さすが赤葦くん。敵わないや」

「毎日教えてたからね。一応聞くけどどうして?」

「分かってるくせに。赤葦くんって本当ずるいよね」

「憶測で決めちゃいけないから」





羽鳥さんは机に座ると、

いきなり俺のネクタイを引っ張った。



バランスを崩して羽鳥さんのほうに身体が傾く。

倒れこまないように、羽鳥さんの身体をはさむ形で机に手をついた。





「いきなりなに、」

「好きなの、赤葦くんが…チャンスだと思ったの…!」

「…」

「…赤葦くん、好きだよ」



そう言って笑う羽鳥さんは、とても美しい。

美しいのに、





「俺は、自分で悔しいと思うほど(人1)しか見ていない」





口をついたのは、この言葉だった。



それに対して羽鳥さんが口を開きかけたとき、







「……え?」





あぁ、なんてタイミングの悪い。





(人1)が、動揺を隠しきれない様子でいた。





誤解だ、待って。

その言葉も言えぬまま、(人1)は走り去ってしまった。




「赤葦く、」

「っ…」





俺は羽鳥さんの手を払い、とっさに(人1)を追いかける。






「どこだよ、(人1)…!」






しかし、(人1)を見つけることは出来なかった。








(すれ違う恋路)

諦めきれない。→←邪魔だったのは。



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(プロフ) - ごめんなさいちょっと尊い… (2022年4月7日 7時) (レス) @page8 id: 7d2166206e (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 泣きました!本当にこのお話好きです...!赤葦最高ですっ...赤葦万歳...お疲れ様でした! (2021年2月28日 8時) (レス) id: ebdd1925d4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 赤葦推しの私死亡、、、 (2021年1月5日 16時) (レス) id: 324728c5bd (このIDを非表示/違反報告)
杏仁豆腐 - よしこういう時は円周率だ、からめっちゃ吹きました!頑張ってください!! (2020年7月4日 9時) (レス) id: d74ccecfb0 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - vさん» お返事遅くなりすみません(泣)コメントありがとうございます!そう言ってもらえてとっても嬉しいです!これからもよろしくお願いします!! (2020年3月6日 0時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はるか | 作成日時:2020年2月16日 19時

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