安心感のある声。 ページ22
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全身が震える。
口を手で押さえられて助けも呼べない。
もとより、恐怖から口が乾ききっていて、
押さえられなくても、叫び声すらでなくなっていた。
「大人しくできるよね？」
「噛み付いたりしたらどうなるか分かってるでしょ？
黙ってればいいんだよ」
「ひっ…」
2人はそのまま私の手を強引に引っ張って、
どんどん進んでいってしまう。
「(凶器は持っていないっぽいのに、こわい)」
こんなことなら猿杙さん達の言葉を素直に聞いて、
嫌でも赤葦に送ってもらうべきだった。
「(…私、どうなっちゃうの？)」
どこに連れて行かれるか分からない。
何をされるかも分からない。
ころされてしまうかもしれない。
「(そんなの、嫌だ……！)」
赤葦の顔が浮かぶ。
いつも助けてくれた、赤葦の顔が。
「……て………し」
「あ？」
「た、すけてっ…！あかあしっ！！」
自分が出せる精一杯の声で叫ぶ。
恐怖から、やっぱり大声とはいえなかったけど。
噛みつくなと言われたけど、逃げるためにとっさに思い切り私の腕を掴んでいる手を噛んだ。
「ってぇ…！おい、待て！」
「どうなるか分かってんのか！」
震える足で男達から逃げ出す。
はやく、はやく、はやく！！
「…あっ、」
逃げなければならないのに。
どうして、こんなタイミングで、
転んでしまうんだろう。
「立て」
「さっき噛むなって言ったのに」
もうだめだ。
.
「…やっと、見つけた」
幾度となく聞いてきた、
安心感のある声が聞こえた。
掴まれていた手が離されて、
逆の手を掴まれたと思ったら、
「ほんと、歩くの速すぎ。
…これどういう状況なの、(人1)」
「あ、か、あし……」
ぽすりと赤葦の胸の中におさまった。
初めて一緒に帰った時と同じ。
でも、あの時とは違う。
温もりが、匂いが、鼓動が、
安心だと、大丈夫だと。
私に伝えてくるのだ。
「なんなのお前。彼氏？」
「いえまさかそんな。論外です」
「じゃあ関係ねぇよな？離せ」
「いいえ」
赤葦は一つ息を吐き、
見たこともない顔で男達を睨む。
そして、たった一言。
「手を出すな」
男達はそれを聞いた途端、
興がさめたと言って大通りに消えていった。
私は力がぬけて、
へなへなと座り込んでしまった。
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桜(プロフ) - ごめんなさいちょっと尊い… (2022年4月7日 7時) (
レス) @page8 id: 7d2166206e (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 泣きました！本当にこのお話好きです...！赤葦最高ですっ...赤葦万歳...お疲れ様でした！ (2021年2月28日 8時) (レス) id: ebdd1925d4 (このIDを非表示/違反報告)
ピ(プロフ) - 赤葦推しの私死亡、、、 (2021年1月5日 16時) (レス) id: 324728c5bd (このIDを非表示/違反報告)
杏仁豆腐 - よしこういう時は円周率だ、からめっちゃ吹きました！頑張ってください！！ (2020年7月4日 9時) (レス) id: d74ccecfb0 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - vさん» お返事遅くなりすみません（泣）コメントありがとうございます！そう言ってもらえてとっても嬉しいです！これからもよろしくお願いします！！ (2020年3月6日 0時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるか
| 作成日時：2020年2月16日 19時
