しくじった。 ページ16
.
赤葦side
「………はあああぁっ」
兎川とわかれて、その姿が見えなくなったのを確認した途端、
俺は壁にもたれかかるようにしてため息を吐いた。
「(くそ……兎川にしてやられた…いや、でもあれは破壊力がハンパない…)」
思い返すは、あのぶかぶかのジャージに身を包む兎川の姿。
…不覚にも、"かわいい"と
そう、思ってしまった。
罵ってやろうと思ったのに思考は停止して、
緩んだ顔を見られまいと口に手を当てるのに必死だった。
「(…彼シャツとか彼ジャーとか言う言葉も意味も知ってたけどまさかここまで刺さるとは…)」
また体育館に足を進める。
切り替えて部活に戻らなければならないのに、兎川の姿がチラついて仕方ない。
「(どうした赤葦京治…よしこういうときは円周率だ、
3.1415926535897……)」
足を進めながら円周率を唱える。
大丈夫だ。いつもみたいにポーカーフェイスで。
「戻りました！」
「お、赤葦〜大丈夫だった？」
「木葉さん。はい、もう平気です。
監督も、蛇口のこと任せっきりですみませんでした」
「気にしないでいい。木兎が待ってるから行きなさい」
「はい」
よかった。普通だ。
俺は監督とコーチに一礼して木兎さんのところへ向かった。
「木兎さん」
「赤葦！水かぶったって！大丈夫か！」
「…はい、何とか」
「………？」
「木兎さん？」
「…赤葦、なんか良いことあった？？」
「…な、んでですか」
「いつもより表情やわらかい気ィする！！気のせいかなー？」
……ポーカーフェイスの俺、どこいった。
「気のせいじゃないですかね」
「なに赤葦なんかいいことあったん」
「小見さん近いです、あとなにもありません」
「なーんだ木兎の気のせいかよ〜期待したのに」
小見さんが興味なさそうに言って去っていく。
…危ないところだった。
木兎さんはたまにこういうところがあるから怖いんだ。
「へっくし！！！
…うー、赤葦ジャージ持ってねえ？今日忘れちまってよ〜」
「すみません、ジャージはさっき兎川に貸して…」
…………しくじった。
−ーーーーーーーーーーーーーーーーー
(教えろよ赤葦〜)
(答えるまで帰さねえよ？)
(ぜっっっったいに言わないしほんとに何もないです！お先です！！)
(逃げた！！！)
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桜(プロフ) - ごめんなさいちょっと尊い… (2022年4月7日 7時) (
レス) @page8 id: 7d2166206e (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 泣きました！本当にこのお話好きです...！赤葦最高ですっ...赤葦万歳...お疲れ様でした！ (2021年2月28日 8時) (レス) id: ebdd1925d4 (このIDを非表示/違反報告)
ピ(プロフ) - 赤葦推しの私死亡、、、 (2021年1月5日 16時) (レス) id: 324728c5bd (このIDを非表示/違反報告)
杏仁豆腐 - よしこういう時は円周率だ、からめっちゃ吹きました！頑張ってください！！ (2020年7月4日 9時) (レス) id: d74ccecfb0 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - vさん» お返事遅くなりすみません（泣）コメントありがとうございます！そう言ってもらえてとっても嬉しいです！これからもよろしくお願いします！！ (2020年3月6日 0時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるか
| 作成日時：2020年2月16日 19時
