愛した罪 (ページ5)

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佐野玲於side

いつまでたっても帰ってこないAに、
だんだん苛々してきた。

連絡の一つもねぇし。

携帯を出し、Aに電話をかける。

何コールかだいぶ待ってから、
がちゃりと電話に出る音がした。

玲於「A？」

『えっ…？玲於？』

玲於「今、家いるんだけど。
いつ帰ってくる？」

『え、…えーと………ごめん、もうすぐ帰るね！』

玲於「…誰かといんの？」

『う、うん！友達！……女の子、だから』

玲於「…そっか。今どこ？迎えいく」

『ううん、帰れるから大丈夫！』

慌てたように電話を切られた。

携帯を持ったままソファに倒れ込み、
そのまま目をつぶる。

そうすれば、すぐに夢の中へ引き込まれていった。

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Aside

久しぶりに会った亜嵐くんは、
今朝テレビで見たよりもずっとかっこよかった。

キャップにサングラスにマスク、
だけどオーラっていうのはにじみ出てる。

お店の個室に入り、サングラスとマスクを
外せばあのきらきらした笑顔が現れて。

亜嵐「っぷは、あちー」

『あはは、もう冬だよ？』

亜嵐「マスクしてると顔火照るんだよなー」

「あち、あち」と顔を手であおぐ亜嵐くん。

相変わらず綺麗な顔してるなー…。

亜嵐「今日、玲於は？」

運ばれてきた水を飲みながら、
亜嵐くんが聞いてくる。

私は少し目を伏せ、苦笑いした。

『んー、…今日もたぶん遅くなると思う…』

亜嵐「…そっか」

それ以上は玲於のことについては
何も聞かなくなった。

…私、上手く笑えたかな。