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思考がどんどんと暗くなっていく。
「A？」
信長が、戻って来てくれた。
「どうした」
『…なんでもない』
信長は私の頬を両手で包むと、腰をかがめて顔を覗き込んできた。
「Aも、そのままでいれば良い」
『へ？』
「俺たちには…俺には、Aが必要だ」
…何それ。
言うが早いか、信長は私の左手を取ると、先で待ってくれているみやちゃんの方へと歩き出した。
それも、いつもの私に合わせてくれる歩幅じゃなくて、早歩きで。
「見よ」
『ん？』
みやちゃんの隣で立ち止まった信長が空を見上げる。
「雲はいつも、ノロノロと動く」
「それでも進んでいます。周りの雲と繋がって、少しずつ大きくなる。信長くんなら、きっとそんな大将になれると、私は思います」
みやちゃんの言葉に、信長が微笑んだ。
「では、ノロノロと行くとするかぁ」
また歩き出す信長。
「いえ、あの、ちょっと！多少は！多少は急いでくださいね？」
『、あはは』
慌てたみやちゃんが走ってきて、私たちの前に立つ。
その姿が可愛らしくて、笑ってしまった。
繋がっていた信長の手が頭に乗った。
「わかっておる。案ずるな、多少は急ぐ」
「お願いしますよ？…では」
『また明日ね』
「うつけが。…行くぞ」
分かれ道で、みやちゃんが曲がって行った。
信長がまた手を繋ぎ直すと、歩き始めた。
─────────────────────────
その日の晩、兄に電話をかけた。
『お願い、出て…』
けれど、そのまま留守電に変わってしまう。
それでもよかった。
兄の番号が変わっていないことがわかったから。
少し手が震える。
『…お兄ちゃん。今まで連絡無視してごめんなさい。黙って家出て高校行ってごめんなさい。…徳川くん、徳川家康は私がなんとかするから、お兄ちゃんが関わってるならもうやめて？…お願いします』
電話を切ってからもしばらく震えが止まらなかった。
どれくらい経っただろうか。
何をする気力も起きなくて、電話を切ったときのまま眠ってしまっていた。
カードフォンの着信で目が覚める。
相手は、
『みやちゃん？』
こんな時間になんだろう。
新しい作戦でも思いついたのかな。
『、もしもし』
「…Aか」
『お兄ちゃん？』
耳元で聞こえたのは紛れもない兄の声。
着信みやちゃんからだったよな、と一度耳からカードフォンを離して確認したけど、やっぱりみやちゃんだった。
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美優(プロフ) - 有紀さん» 初めまして！コメントありがとうございます☺️私も最近続きを書きたい欲が出てきました！気長にお待ちいただければ嬉しいです！ (4月14日 14時) (
レス) @page31 id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
有紀(プロフ) - 初めまして、このドラマが好きで読ませていただきました。続き楽しみにしてます。 (3月29日 18時) (レス) id: 1322499c70 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - ななさん» お久しぶりです！嬉しいです✨ (3月22日 15時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
なな - TVerで配信開始されたので懐かしくなりまた読みにきちゃいました。 (3月6日 23時) (レス) id: 114e35bcaa (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - らんさん» ありがとうございます！最近は更新できていませんが、読んでくださる方がいると思うと嬉しいです😊 (2023年4月15日 18時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆう | 作成日時：2022年8月30日 10時
