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みやちゃんも理事長に習ってこちらを向く。
『…兄、ですか』
「家康くんに博士を殺められた、息子さん？」
徳川くんへの復讐ということだろう。
正直なところ、私は父との思い出を覚えていない。
まだ物心のつく前だったから。
けれど兄は違う。
父と過ごした記憶がたくさんあるし、歴史のことだって全部父に教わったはず。
そして、母との記憶も。
きっと兄は、父を手にかけられたことだけではなく、武将への重すぎる愛から母を失ったことも重ねて恨んでいるんだろう。
以前から兄は私が武将たちと、信長と関わることを嫌がっていた。
だからこそ、銀杏高校への進学も反対された訳だし。
兄がそういう人ではない、と思いたい一方で、納得してしまう自分もいた。
私たち兄妹は、それだけ同じ時を密に過ごしてきたのだ。
もしかすると兄は、父が死んだ日からずっと、復讐の日を待っていたのかもしれない。
だから、私には三人のことを言わなかったんだろう。
止められることがわかっていたから。
「家康自身もきっと気づいておるじゃろう。いやぁーしかし、信長と家康の一騎打ちも楽しみだったが、代わりに別の楽しみが増えたのぉー」
理事長一人が楽しそうだった。
「え…？」
「勝負の刹那に吹く、予期せぬ風。これぞ、戦国」
「一体、あなた方はどこまで…！」
最早怒りを覚える気力も失った私の代わりに、みやちゃんが怒ってくれた。
「君がどう思おうと、変われんよ？奴らは、戦うべくして生まれたんじゃ」
「何をすべきか決めるのは、彼ら自身でございます！…行きましょう、Aちゃん」
理事長室で棒立ちになっていた私を、みやちゃんが引っ張った。
後ろから、理事長が睨んでいることにも気づかずに。
教室に戻ると、みんなの「どうすんだよ」と言う声が聞こえてきた。
「結局、信長と家康との勝負もお預け」
「黒百合高校か」
「けどよ、あいつらの目的は家康なんだろ？」
「そうばい。おいたちには関係なか」
「馬鹿かてめえ、さっき言ってただろうが。家康が敗北認めなきゃ、俺たちだって、容赦しねえって」
「チッ、巻き添えかよ」
「でも、これで家康がやられちまえば好都合じゃ」
「そんなに上手くは行かんじゃろ。もう少し頭を使ったらどうじゃ」
「そんな言い方しなくっても…！」
「少しは考えろって言ってるんじゃ」
兄が原因で、本来ならみんなが考えなくてもいいことに頭を使っている。
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美優(プロフ) - 有紀さん» 初めまして！コメントありがとうございます☺️私も最近続きを書きたい欲が出てきました！気長にお待ちいただければ嬉しいです！ (4月14日 14時) (
レス) @page31 id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
有紀(プロフ) - 初めまして、このドラマが好きで読ませていただきました。続き楽しみにしてます。 (3月29日 18時) (レス) id: 1322499c70 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - ななさん» お久しぶりです！嬉しいです✨ (3月22日 15時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
なな - TVerで配信開始されたので懐かしくなりまた読みにきちゃいました。 (3月6日 23時) (レス) id: 114e35bcaa (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - らんさん» ありがとうございます！最近は更新できていませんが、読んでくださる方がいると思うと嬉しいです😊 (2023年4月15日 18時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆう | 作成日時：2022年8月30日 10時
