新・信長公記ークラスメイトは戦国武将ー 3

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『おっさんって言わないの』


ごめんなさい店員さん、彼らは歴史を習っていないんです…！


「どうも、草薙です」


メニュー表を頭に当ててパニックになった店員さんは、すぐに本名を名乗った。


「草薙！？」

「はい、」

「いや、こんなうつけが貴様の先輩とはな…」

『こら』

「信長くんうつけとは失礼ですよ」


名前を聞いて信長が大袈裟に驚いたから知り合いかと思ったら、うつけ呼ばわりしたかっただけみたいだ。

軽く手を叩(はた)いておいた。


「うぃーっす」


そのとき、スリーピースのスーツに身を包んだ若干チャラそうな男性がやってきた。


「あ、社長」

「お疲れ様です」


ご丁寧にみやちゃんが腰を折って挨拶している。

かき氷のワゴンに社長とかあるんだ。

社長さんはこちらを見てニヤリと笑った。


「若い客がいるね？」

「私のクラスメイトでございます」

「え、何？友達連れてきてくれたの？マジ優秀じゃん！」

「とんでもございません。御三方が来てくださったんです」


社長の褒めっぷりに、草薙さんはちょっと立場が無さそう。


「へぇー、いや二人ともすらっとしてかっこいいね？お嬢ちゃんも可愛らしい顔だ」

『お嬢ちゃん…』


そんな呼び方をされたのはいつぶりだろうか。

社長さんは気にしていない様子。


「名前は？」

「織田信長だ」

「伊達政宗だ」

『蝶野Aです』

「いいじゃんね、流行ってるもんね戦国。俺も好きだよ」


社長さんは二人の名前を聞いても驚いていない様子だ。

そんなにすぐ受け入れていいものなの？

私なら偽名を疑うけど。

社長さんを見て草薙さんはポカンと口を開けている。

それにしても、草薙さんにみやちゃん、社長さんまで戦国時代を知っているなんて、歴史オタクが採用基準なの？


「天下布武だっけ？ね、天下布武。ね、あれいいよね」


あんまり信長たちに戦国時代の話はしないでほしいんだけど…。

見ず知らずの社長さんに複雑な事情を話すわけにもいかず。


「ほら、経営も戦だからさ、俺も信長見習ってね、戦略練ってね、打ち勝ってかないとね！まあ、来週からね、メニューも増やすし？あ、そうだ、新作のシロップ車の中に置き忘れたわ。ちょ、草薙、取ってきて」

「えー」


草薙さんはちょっと嫌そう。


『あの、私行ってきましょうか？』

「それなら私が。後輩なので」

『じゃあ一緒に行こ？』

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