. ページ22
「勘弁しろ!俺は戦のない世を、ノロノロ行くさ」
信長がペリーさんに向かってウインクを飛ばした。
「ふっ、ぶはははははは!!」
『え…』
ペリーさんはよっぽど駄洒落が面白かったらしく、手を叩いて爆笑し始めた。
「おい見ろA!」
「この程度で!?」
信長が肩越しに振り向く。
とても嬉しそうだけど、みやちゃんの言う通りだ。
初歩の初歩というか、小学生並みというか、とにかくツボが浅すぎる。
「Oh, yeah」
「貴様、なかなかにわかる奴ではないか!」
信長がペリーさんの肩を叩く。
「@#/&_☆」
「何言ってんだうつけ」
ペリーさんも楽しそうに何か言っていたが、流暢すぎて全く伝わっていなかった。
兎にも角にも、これ以上ペリーさんたち黒百合高校の人と衝突することはなさそうで、安心した。
後は、今後兄が何も仕掛けてこなければ。
複雑な感情をシャットアウトするように、目を瞑った。
─────────────────────────
次に目を開けたときに見えたのは、見慣れた天井だった。
信長が家まで連れ帰ってくれたのだろうか。
顔を横に向けると、額から生ぬるいタオルが落ちた。
寝ている間に置いてくれたらしい。
キッチンで何やらゴソゴソしている信長が見えた。
信長って料理できたっけ?
時折カードフォンを覗き込むような仕草をするから、調べてまで何かを作ってくれているようだ。
やがて、私の視線に気がついたのか、信長がこちらを見た。
「A?起きたのか」
ベッドの脇にしゃがんで、額に手を載せる。
しなやかで綺麗な手が、冷たくて気持ちよかった。
信長が少し顔を顰めたような気がしたけど、気にしない。
『連れて帰ってくれてありがとう』
「全く、貴様は無茶のしすぎだ」
『んへへ、』
「水飲むか」
『うん』
想像以上に拗らせていたらしく、体を起こすのにも一苦労。
背中側に座ってくれた信長に甘えて、体重をもたれかけさせた。
口元に差し出されたコップから、ゆっくり水分を補給する。
「お腹空いてるか?」
せっかく何かを作ってくれている信長には申し訳ないけど、正直なところ全く食欲はなかった。
首を小さく横に振る。
「薬のために少しでも食え」
『んー、』
信長がまたベッドに寝転ぶのを手伝ってくれる。
さっきまで感じていた温もりと離れるのが寂しくて、咄嗟に信長の服を掴んだ。
503人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美優(プロフ) - 有紀さん» 初めまして!コメントありがとうございます☺️私も最近続きを書きたい欲が出てきました!気長にお待ちいただければ嬉しいです! (4月14日 14時) (レス) @page31 id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
有紀(プロフ) - 初めまして、このドラマが好きで読ませていただきました。続き楽しみにしてます。 (3月29日 18時) (レス) id: 1322499c70 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - ななさん» お久しぶりです!嬉しいです✨ (3月22日 15時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
なな - TVerで配信開始されたので懐かしくなりまた読みにきちゃいました。 (3月6日 23時) (レス) id: 114e35bcaa (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - らんさん» ありがとうございます!最近は更新できていませんが、読んでくださる方がいると思うと嬉しいです😊 (2023年4月15日 18時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆう | 作成日時:2022年8月30日 10時