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ここに来ても、徳川くんはまだ余裕を取り戻すだけの気力を持っていた。

信長と二人、感情の籠らない笑みを浮かべて対峙している。




─────────────────────────





旗印戦当日。

信長は早くから登校してじっと座っていた。

みんなが次々に教室へと集まる中、みやちゃんが駆け込んで来た。


「大変です!武田くんが家康くんに…!」

「どうした?」


みやちゃんが言うには、武田くんが徳川くんに決闘を申し込んだらしい。

旗印戦のポイントは関係なく。

ついに、武田くんも腹を括ったようだった。






ドローンから飛ばされた映像が、電子黒板に映る。

石がゴロゴロと転がる足元の不安定な河原で、武田くんと徳川くんが本気の喧嘩をしていた。


「どうした、掠りもせんぞ!」

『三方ヶ原の戦い…』

「お前の全力はこの程度か。蹴りとはな、こう放つんだ!!」


武田くんが、徳川くんに蹴られて地面に倒れ込む。


「『武田くん!』」


思わず立ち上がったが、すぐに信長に腕を引かれ、座らされた。


「これが、真の力!!!」


徳川くんは倒れた武田くんを引っ張り起こす。


「歴史は、たまたまお前が早く生まれたからああなっただけで、最強は!この徳川家康!!」


まずい。

このまま放っておくと徳川くんが何を言うか分からない。

もしも、クラスの中で誰か一人でも歴史に興味を持ってしまったら?

図書室で歴史について調べてしまったら?

そう思うと怖くて、信長が引き止める腕も振り解いて教室を飛び出した。


「A、待て!」

『ごめん信長!』

「Aちゃん!?」


武田くんと徳川くんがどこにいるかなんて知らなかったけど、学校から短時間で行ける河原なんて知れている。

どうか、全てが終わる前に間に合いますように。

祈りながら走った。




『いた、!』


ラッキーなことに、一番最初に向かった河原に二人はいた。

まだ武田くんは倒れていない。

ひとまず、徳川くんが歴史のことを言わない限りは武田くんとの勝負の邪魔もするまい、と近くの岩の影に隠れた。


「人は城、人は石垣、人は堀」

「何だそれは?」


武田信玄の有名な言葉。

さすがの徳川くんもそこまでは知らないらしい。


「人は城、人は石垣、人は堀」

「だからなんだそれは!?」

「意味わかんねえだろうな、人をゴミ扱いするようなお前には」

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美優(プロフ) - A?さん» コメントありがとうございます!前田くんと絡めるように頑張ります! (2022年8月26日 10時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
A? - 凄く面白いです前田との絡みが欲しいです (2022年8月25日 15時) (レス) @page35 id: 463b37ca19 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - いつも楽しく拝読しております!秀吉ともっと絡ませてほしいです!!! (2022年8月25日 14時) (レス) @page35 id: a89c13a921 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - すずさん» ありがとうございます! (2022年8月23日 19時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 応援してます!! (2022年8月19日 18時) (レス) @page13 id: c8c40d0f19 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆう | 作成日時:2022年8月10日 0時

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