その陸 ページ36
その日の放課後、珍しく信長は先に帰ると言い出した。
『…どこ、行くの』
「心配するな」
いつもなら、何も言わずに受け入れていただろう。
だって信長はいつだって私の側に居てくれるから。
たまには一人になってゆっくりしたいんじゃないかと思うから。
けれど今日は、その顔が何かを思い詰めているようで、思わず信長の袖を引いてしまった。
「おい井伊！」
が、信長はすぐに近くにいた井伊くんに話しかけてしまった。
まるで何も言うなとでも言うように。
「なんだ？」
「悪いがAを送っていってくれないか？」
『え？いやいや私一人でも帰れますけど』
みやちゃんもいるし、信長がいないからってわざわざ井伊くんに来てもらうことはないと思うんだけど？
私そんなに方向音痴だと思われてるのかな。
すると、井伊くんがニヤニヤしながら近づいてきた。
「いいぜ？その代わり、明日購買の焼きそばパン奢れよ？」
『いや、だからいいって、』
「構わん」
『聞いてる？』
井伊くんはなんでそんな二つ返事なの…！？
本多くんたちは放って帰っていいの？
というか何気に井伊くんと2人きりってないから地味に気まずいな。
なんで信長は井伊くんチョイスだったの？
悶々と考える私は無視で、二人でさっさと話をまとめてしまうと、信長は帰っていった。
「Aちゃん！」
『みやちゃん…！』
「私もご一緒してよろしいですか？」
私があまりにひどい顔をしていたのだろう。
近くで様子を見守っていたみやちゃんが見かねて声をかけてくれた。
なんて優しい子なの！
明日みやちゃんにも焼きそばパン買ってあげよ。
そんなこんなで、三人で学校を後にした。
『本多くんたち、本当に良かったの？』
「ああ、たまにはな。時々は離れる時間を作るのもアリってことだ」
『やっぱそうなんだ…』
わかってはいたけど、ちょっと凹む。
信長に窮屈な思いさせちゃってたのかな。
「Aちゃん？」
『信長、なんかすごい思い詰めた顔してて。そんなに一人になりたかったのかなって…』
「あいつに限ってそれはねえだろ」
『え？』
断言した井伊くんの顔を凝視してしまった。
「そうですわ。信長くんがAちゃんと離れたいなんて、そんなことあり得ません」
『どうして？』
「それは、」
「それは、自分で考えろ」
みやちゃんの言葉を遮った井伊くんに頬をつままれた。
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美優(プロフ) - Ａ？さん» コメントありがとうございます！前田くんと絡めるように頑張ります！ (2022年8月26日 10時) (
レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
Ａ？ - 凄く面白いです前田との絡みが欲しいです (2022年8月25日 15時) (レス) @page35 id: 463b37ca19 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - いつも楽しく拝読しております！秀吉ともっと絡ませてほしいです！！！ (2022年8月25日 14時) (レス) @page35 id: a89c13a921 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - すずさん» ありがとうございます！ (2022年8月23日 19時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 応援してます!! (2022年8月19日 18時) (レス) @page13 id: c8c40d0f19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆう | 作成日時：2022年8月10日 0時
