． ページ28
「お前の言う通りだ。俺は人から信用されない。何よりそれは、俺が人を信じないからだ」
そんなことないよ！
少なくとも私は信じてるよ！
あと多分信長とみやちゃんも！って言いたかったけど我慢した。
だって盗み聞きしてたのがバレるのはまずい。
「お前は何も間違っていない。さあ、」
黒田くんに手を差し伸べる徳川くん。
「だけどな、俺は、そんな俺自身が、心底嫌いなんだよ」
黒田くんが徳川くんの手を取ることはなかった。
「いつしか、掛け値無しに相手に何かを託すことを、恐れるようになってた」
黒田くんも過去に何かあったのかな。
何かを思い出しているような表情の黒田くんに、そう思った。
「だけどな、家康。信じることはきっと、強さなんだよ。だから憧れる。お前の言う、馬鹿者たちに」
立ち上がった黒田くんに、徳川くんは差し出していた手をゆっくりと下ろした。
「お前の器は、違ったようだ」
「所詮お前も、ただのゴミだったか…」
去っていく徳川くんを、明智くんが追いかけていった。
「A、行くぞ」
耳元で信長に囁かれて、黒田くんに気づかれないうちに私たちもその場を離れた。
─────────────────────────
新PBB作戦の当日。
なぜか私は魔村さんから音楽ホールの掃除を命じられていた。
『なんで私なんですか？』
「安全に旗印戦が行われるよう、会場の美化に努めるのも仕事です」
『答えになってない…！』
絶対いいように使われてるだけじゃん。
秀吉くんの茶歌舞伎以来、なんか魔村さんにこき使われているような気がして気に食わない。
しょうがないなと思いつつ、とりあえず風を通すために全部の窓を開けていく。
ホールの後ろ側の窓に取り掛かったとき、椅子の端から細い脚が飛び出ているのが見えた。
『！！！！！痛っ！』
誰もいないと思っていたから、びっくりしすぎて窓に指を挟んでしまった。
てか待って、あの脚見覚えありすぎる。
ゆっくりと脚の方に近づいていくと、
『やっぱり…』
信長がぐっすりと眠っていた。
なんで朝からここで寝てんのよ。
鍵閉まってたよ？
存在消しすぎて先生にも気づかれなかったのかな？
指を挟むくらいびっくりさせたお返しにほっぺたでもつねってやろうかと思ったけどやめておいた。
だって、あんまり気持ちよさそうな顔をしていたから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 612人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美優(プロフ) - Ａ？さん» コメントありがとうございます！前田くんと絡めるように頑張ります！ (2022年8月26日 10時) (
レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
Ａ？ - 凄く面白いです前田との絡みが欲しいです (2022年8月25日 15時) (レス) @page35 id: 463b37ca19 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - いつも楽しく拝読しております！秀吉ともっと絡ませてほしいです！！！ (2022年8月25日 14時) (レス) @page35 id: a89c13a921 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - すずさん» ありがとうございます！ (2022年8月23日 19時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 応援してます!! (2022年8月19日 18時) (レス) @page13 id: c8c40d0f19 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆう | 作成日時：2022年8月10日 0時
