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「鳴かぬなら、コケコッコー！俺が鳴く」
『自分で鳴くんだ』
「コケー！！！」
『馬鹿がバレるからやめなさい』
そのとき、後ろから芝生を踏む音がした。
「ゴミが何してる」
『…徳川くん？』
振り返ると、徳川くんだった。
「見てわからんかうつけ。鳴くのを待ってる」
「鳴くのを待つか…俺ならこうする」
徳川くんが鶏の前にしゃがむ。
「鶏よ、この家康のために、鳴け」
徳川くんが手のひらを鶏に向けると、鶏が鳴いた。
『鳴いた…』
「恐怖を植え付け、支配すれば良い」
これじゃまるで史実と反対だ。
恐怖で支配する家康と、鳴くまで待つ信長。
いくらクローンとはいえ、どこで掛け違えてしまったのだろう。
静かに向かい合う信長と徳川くん。
顔ひとつ歪ませず、ただ見つめあっているだけなのに、二人の間にただならぬものを感じて、間に割り込んだ。
『はいはいおしまい！…ね、信長、もう帰ろ？』
「お前ならどう鳴かせる、蝶野A」
『えー…』
思わぬ徳川くんからの言葉に顔が歪むのを抑えられなかった。
信長も聞きたそうにしているから、もはや逃げられなさそうだ。
『私なら…』
「私なら？」
『明け方に来るかな』
「明け方」
鶏は、夜が終わって陽が昇り始める頃にその日の活動を開始する。
そのタイミングで鳴き始めるんだから、鳴き声が聞きたいときは明け方に来る。
そう言うと、徳川くんはフッと笑って行ってしまった。
『自分から聞いといて何なの…』
「俺らも帰るぞ」
『そうだね』
鶏にバイバイと手を振って、鞄を取りに教室へ戻る。
それを見ていた信長にも笑われた。
教室にはもう誰も残っていなくて、信長と2人きり。
こんなに静かな学校は初めてで、ちょっと新鮮だった。
「おいA」
『あ、黒板直さなきゃ』
明日あたりから二十四節気でいう立夏だから、電子黒板の清明を書き直すために立ち上がった。
信長が何か言おうとしたのを遮ってしまった気がする。
『ごめん、なんか言った？』
「いや、…」
珍しく歯切れの悪い信長の顔を見る。
言いたいことがあるのは明白だった。
『なぁに』
「…あまり、他の男と関わるな」
『え？』
罰が悪そうな顔で、小さく要求してきた信長。
彼のこんな姿は見たことがなくて、困惑してしまう。
それに、他の男と関わるなって、そんなの…
「早くしろ、帰るぞ」
信長の声に思考を遮られる。
信長が手伝ってくれたおかげで仕事はすぐに終わった。
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美優(プロフ) - 紗奈さん» コメントありがとうございます！私も嬉しいです！！ (2022年8月15日 19時) (
レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
紗奈 - 私このドラマシリーズ好きなので嬉しいです！ (2022年8月15日 18時) (レス) @page6 id: 2c45cd1730 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - すずやまさん» そのお言葉が一番嬉しいです！ありがとうございます🥰 (2022年8月9日 2時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
すずやま(プロフ) - 更新楽しみに待ってました！☺️これからも作成頑張ってください！ (2022年8月8日 18時) (レス) @page37 id: 50da26ed0a (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - 寧々さん» わざわざありがとうございます！全然迷惑じゃないですよー！！ (2022年8月5日 16時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆう | 作成日時：2022年7月25日 9時
