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「バッハだ！」
呆気にとられるクラスメイトを物ともせず、伊達くんがクルッと一回転した。
「…それは、ヨハン・ゼバスティアン・バッハか？」
「…？そういう名前なのか」
『知らんのかい』
というか、よく黒田くんフルネーム知ってたね。
「それでは上杉くん、ステージへどうぞ」
私が自分の席へ戻ったタイミングで魔村さんが声をかけた。
ステージに登った上杉くんが、楽器にかけられた布を剥ぐと。
「琵琶？」
─上杉謙信は、琵琶の名手として知られていた。
「上杉くん、頑張ってくださいませ…！」
みやちゃんや明智くんが祈るように画面を見つめている。
それにしてもあの緑川さん、いくら知らないとはいえ、かの上杉謙信に音楽で勝負を挑むとは…
100点満点じゃありませんようにと願いながら私も画面に目を向けた。
上杉くんが琵琶を手に取り、演奏を始める。
『かっこいい…』
一瞬、信長がこっちを見た気がしたけど何も言われなかったからスルー。
緑川さんに負けず劣らず、ホールの生徒を巻き込んで琵琶を弾きこなす上杉くん。
その音色が止まったとき、みんなが拍手していた。
「すごいですわ！」
「せやけど無理ちゃう？」
『ちょっと秀吉くん？最初から諦めるんじゃないよ』
秀吉くんはあまり音楽に興味ないのかな？
それか、上杉くんの勝ち負けはどうでもいい派？
旗印戦をするなら喧嘩以外で挑みそうな秀吉くんにしては意外な発言だ。
「それでは採点をどうぞ」
「採点は…2万8000点！」
滝山先生も悩んでいたみたいだけど、まさかの点数にちょっとびっくりした。
100との差すご。
上杉くんもどこかほっとしたような笑みを浮かべている。
「今回の旗印戦、勝者は…上杉謙信くん！」
「えー、いちごちゃん俺もう、無理…」
『よかったー！ね、信長？』
「…俺には関係ない」
『クラスメイトなんだからちょっとくらい応援してあげてもいいのに』
隣で相変わらず干し柿を齧る信長に同意を求めたけど、私が馬鹿だった。
なんかちょっと怒ってる？
井伊くんたちもブーイングしてるし。
旗印戦で誰が勝ったっていい。
だけど、同じクラスの子が負けるのを見るのはやっぱりちょっと悲しいから。
だから、いつかは避けられないことだとは分かっていても、特進クラスの中で旗印を掲げ合う人が出るのはまだまだずっと先がいいな、なんて。
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美優(プロフ) - 紗奈さん» コメントありがとうございます！私も嬉しいです！！ (2022年8月15日 19時) (
レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
紗奈 - 私このドラマシリーズ好きなので嬉しいです！ (2022年8月15日 18時) (レス) @page6 id: 2c45cd1730 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - すずやまさん» そのお言葉が一番嬉しいです！ありがとうございます🥰 (2022年8月9日 2時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
すずやま(プロフ) - 更新楽しみに待ってました！☺️これからも作成頑張ってください！ (2022年8月8日 18時) (レス) @page37 id: 50da26ed0a (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - 寧々さん» わざわざありがとうございます！全然迷惑じゃないですよー！！ (2022年8月5日 16時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆう | 作成日時：2022年7月25日 9時
