． ページ12
「ありがとうございます。わが故郷、山形」
わざわざ指を鳴らして得意げに答えた伊達くん。
その後ろに座っていた武田くんが、ドンッと机を叩いた。
「馬鹿ってぇ、葡萄は山梨に決まってるら。阿呆け？」
「武田ァ、おめぇごしゃぐぞ」
「何を言ってるでぇ馬鹿ってぇ。おまんぶっさらうぞ！」
椅子をガンガンと鳴らして睨み合う伊達くんと武田くん。
「おうおう何言ってるかわからん」
黒田くんがヒラヒラと手を振って茶々を入れる。
「まあまあ、落ち着いて二人とも。どちらの葡萄も甘くて美味しいですよ。アハッ」
口を挟んだ上杉くんはキラッと歯を光らせた。
ま、眩しい…！ホワイトニングでもしてるのかな？
「「黙れ上杉」」
『ハモった…』
「おい武田、外すぞ」
「おめぇー…」
眼帯をぐりぐりし始めた伊達くん。
いや、なんの脅し？
「ほれほれほれほれ、そこまで葡萄に愛があるなら、互いに思いやれ」
「黙れ黒田！」
「知らんのか、葡萄の花言葉を。花言葉は、“思いやり”だ。郷土愛とは、大いに結構。だが、いがみ合いなど、葡萄は望んでおらぬ」
黒田くんの言葉に、二人は舌打ちをして元に戻った。
「ねえねえねえねえねえねえ、そのさ、歯さ、セラミック？」
「はっ、ナチュラル！」
「へぇー！」
満足した様子で黒田くんは席に着いた。
「さすが天才軍師黒田官兵衛。気持ちがいいほどにスカッとしました！」
「葡萄だけに、まぁスカッとしたんだな！」
『えっ…』
突如楽しそうに口を開いた信長に、教室中の空気が凍りついた。
全員が信長に注目している。
秀吉くんは寒そうに肩を抱いた。
「先生、授業を続けてください」
明智くんの言葉に被せるように鳴り響く拍手の音。
立ち上がったのは本多くんだった。
「うまい…！」
『…』
ファンサよろしく本多くんに微笑み返す信長。
本多くんは、すっかり信長に虜のようだ。
そのとき、電子黒板が切り替わって魔村さんが映し出された。
《初の公認旗印が出ました》
「「「「「おぉー」」」」」
《旗印提出は…一年C組、大沢一郎くん》
C組？
てっきり特進クラスの誰かかと思った。
《どうも！》
「誰中の誰？」
みんなもそう思っていたらしく、ブーイングが上がる。
「やめろこら！」
《大沢くんが出した旗印はこちらです》
《2時間以内に武田信玄を倒す！大沢一郎！》
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 600人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美優(プロフ) - 紗奈さん» コメントありがとうございます！私も嬉しいです！！ (2022年8月15日 19時) (
レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
紗奈 - 私このドラマシリーズ好きなので嬉しいです！ (2022年8月15日 18時) (レス) @page6 id: 2c45cd1730 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - すずやまさん» そのお言葉が一番嬉しいです！ありがとうございます🥰 (2022年8月9日 2時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
すずやま(プロフ) - 更新楽しみに待ってました！☺️これからも作成頑張ってください！ (2022年8月8日 18時) (レス) @page37 id: 50da26ed0a (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - 寧々さん» わざわざありがとうございます！全然迷惑じゃないですよー！！ (2022年8月5日 16時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆう | 作成日時：2022年7月25日 9時
