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みやちゃんと二人、保健室のドアに耳をくっつける。
「喧嘩して、骨折れたの?」
「ああ、違う違う。折れたのは俺じゃない」
絶対大阪で日本語勉強したでしょ、と思うような保健室の先生に状況を説明する信長。
信長が指差したのは、本多くんの方だった。
息を呑むみやちゃん。
「ああ、これは、折れてるね!」
本多くんの右手は明らかに赤く腫れていた。
「これを思いっきりぶん殴った」
信長が帯から取り出したのは、金属製の帯板。
「Oh my god !」
「なぜこのことを言わなかった?言えばお前は、本多に初めて傷を負わせた男として名を挙げることができたんだぞ」
「あぁ俺そういうの興味ないから!」
帯板を元に戻した信長が、本多くんにぐっと顔を近づける。
「なんだっ、てめぇ…」
「貴様。しっかり傷治せ」
本多くんの頬に手を這わせると、徐に立ち上がってポケットから干し柿を取り出した。
『やばっ、目合う!しゃがんで!』
角度的に信長の顔がこちらを向いたので、慌ててみやちゃんの肩を押した。
みやちゃんと二人、ドアの前でしゃがみ込んでいるうちに、信長は反対側のドアから出ていった。
『はぁー、危なかったね。もうちょっとでバレるとこだった』
「Aちゃんは、ご存知だったのですか?」
『ん?』
「まさか、帯板が金属だったなんて…」
『まぁ、幼馴染だからね。信長が喧嘩に興味ないのも知ってるし…』
みやちゃんが神妙な面持ちで考え込む。
そのとき。
「日下部!蝶野!」
「何でございましょう?」
廊下の向こうから肉山先生が歩いてきた。
「お前、学級委員長んなったから」
「え?私がですか?」
「蝶野は副委員長だ」
『私もですか?』
「独断で決めた。就任の挨拶を、理事長にしてこい!」
『えー、今…?』
みやちゃんと理事長室まで行くと、自動でドアが開いた。
『失礼しまーす…』
理事長室には昨日の女の人しかいなくて、蝋燭とか変な置物とか骸骨とか、とにかく気味が悪かった。
机に置かれた水晶から、同じように理事長の顔が映し出された。
「紅一点の日下部くんと蝶野くんが学級委員になってくれれば、特進クラスは安泰ですなぁ」
「よろしく、お願いいたします」
みやちゃんに習って頭を下げる。
「何か質問あれば、遠慮なく」
「あの、旗印戦とは、一体何なのでしょうか」
「それは、秘書の、魔村くんが」
秘書だったんだね。
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美優(プロフ) - 紗奈さん» コメントありがとうございます!私も嬉しいです!! (2022年8月15日 19時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
紗奈 - 私このドラマシリーズ好きなので嬉しいです! (2022年8月15日 18時) (レス) @page6 id: 2c45cd1730 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - すずやまさん» そのお言葉が一番嬉しいです!ありがとうございます🥰 (2022年8月9日 2時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
すずやま(プロフ) - 更新楽しみに待ってました!☺️これからも作成頑張ってください! (2022年8月8日 18時) (レス) @page37 id: 50da26ed0a (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - 寧々さん» わざわざありがとうございます!全然迷惑じゃないですよー!! (2022年8月5日 16時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆう | 作成日時:2022年7月25日 9時