2人の悪魔と過ごす日々 (ページ22)

今日:14 hit、昨日:1 hit、合計:25,690 hit

秘密【Ms,ハーデス】ページ22

ハーデスは初めてルイを見たときから、どこか違和感があった。
マスターであるハデスに人間界にてリクルートの仕事をしてこいと言われ、しぶしぶここに来たが、思いのほか他の者達との交流は楽しく、充実したものだった。

ハーデスがルイを見たときにどこかで見た気がしたが、そんなはず…あるわけないわ。と首を振って考えを消した。
なぜなら、彼女が普段いる場所は冥界…。生き物が最期を迎えた後に来る世界である。
だが、彼女が見る限りルイが死者や幽霊であるとはとても思えなかった。

｢最近よく俺の顔見てますね、なにかついる？｣
「いいえ、そんな見てないわ。気のせいじゃない？」

ルイの顔を見ながらハーデスは考え事をしていたのだが、その視線に気づいた彼は何事かと聞いきたが、何とかごまかした。
しかしハーデスは、胸に引っかかる疑問をすっきりさせたくて、ルイに聞いてみることにした。

「ねぇ、ルイ？」
｢ん？｣

仕事を中断してハーデスに向き直るルイ。

「貴方って…生きてるわよね？」
｢は？｣

あまりの突拍子の無い質問にルイがぽかんとして、手に持っていた物を落としていた。
その反応は当然である。いきなり突拍子もなく貴方生きている？なんて質問をされたら誰だってこうなるだろう。とハーデスは心の隅で思った。

｢それは…あれっすか？アップルさんみたいに元の姿が無機物かってこと？｣
「いいえ。」
｢生きてるよ、俺。｣

そう言い切るルイだったが、ハーデスは見過ごさなかった、彼が一瞬目をそらしたことを…。

｢なんでそんなことを？｣
「…。」
｢さすがにそんなこと聞かれたら俺だって気になるよ｣

苦笑いを浮かべ、頬をポリポリと掻いているが目は本気、やはり彼もヴィランズだということがひしひしと伝わる。

「少し、貴方を始めてみたときに見覚えがあると思っただけよ…まあ、信じるか信じないかは、ご勝手に。」

気まずくなり、今度はハーデスが彼から目をそらす。
なんとなく嫌な沈黙が続き、居心地が悪くなったため彼女が踵を返してその場を去ろうとしたとき。
ルイがぽつりとつぶやいた。

｢…。そうか、ハーデスさんは冥界にいるから俺を見たことあってもおかしくないかもね｣
「？」
｢ここから話す話は、俺とハーデスさんだけの秘密にして下さい。｣
「…わかったわ。」

あまりに真剣に話すものだから、思わずハーデスじゃうなずいてしまった。