【183】 ページ7
「はぁ…、はぁ……っ、」
思わず逃げてしまった。
「何やってるんだろう、私…っ、」
だけど、何もないフリをして、
あの場所に立っていることは、絶対にできなかった。
「っ……、」
いつからこんなに弱くなってしまったんだろう。
「こんなこと、で……っ、」
彼らと出会う前の私だったら、
きっとこんな風に泣かなかったはずだ。
こんなに弱くなってしまったのは、
自分が思っているよりもずっと、
彼らに心を開いて、甘え切ってしまっている証拠だ。
「も、やだっ……、」
好きの気持ちを消してしまえば、きっと楽になれる。
だけど。
そうしようと躍起になるほど、気持ちは膨らんでしまうばかりだ。
どうにも上手くいかない。
どうして現実は、いつだってこんなに難しいのだろうか。
際限なく溢れてくる涙にｲﾗｲﾗして、
頬に伝う涙をｺﾞｼｺﾞｼと乱暴に制服の袖口で拭った時。
「意外と足速いんだね、Aちゃん。」
「へっ…？」
歩き出そうとした足が止まったのは、誰かに手首を掴まれたから。
私の手首を握っているのは、柔らかい笑顔を浮かべる彼だった。
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?醂凛?(プロフ) - 和音さんの作品をいくつか読ませて頂きました。どれも内容が素敵で、毎度更新を楽しみにしてます！和音さんの世界観大好きです！夢を見させて頂きありがとうございます。応援しています、頑張って下さい！！！！ (2021年3月19日 0時) (
レス) id: 051ec58ae3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和音
| 作成日時：2020年3月8日 18時
