【195】 ページ19
「ちゃんと、着きましたよ。」
翔『そっか、それなら良かった。』
帰ろうとしていた気持ちが、だんだん消えていく。
この人の声は、“安心”をくれる。
翔『緊張してるでしょ？』
「えっ……、」
翔『声が震えてたよ、最初。』
――――…あぁ、バレてる。
言わないけど。
帰ろうとしていたことも、
きっとバレてるんだろうなと、ぼんやりと思った。
「‥…櫻井さん。」
翔『うん？』
耳元で聞こえる低くて優しい声。
「頑張れ、って、言ってもらえませんか…？」
翔『え？』
背中を押して欲しいと思ってしまうのは、
どうしようもなく私が弱いからだ。
翔『……大丈夫だよ。』
だけどやっぱり優しい彼は、
大丈夫だと、弱い私に魔法を掛けてくれて。
翔『頑張れ。』
背中を押してくれた。
「ありがとう、ございます…っ、」
大丈夫。大丈夫。
「‥、…行ってきます。」
翔『うん、いってらっしゃい。』
そう言ってくれた彼は、
きっと優しく微笑んでくれているんだろうなと思う。
通話終了をタップして、背中を向けていたドアの前に立って。
「……よし。」
インターホンを押した。
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?醂凛?(プロフ) - 和音さんの作品をいくつか読ませて頂きました。どれも内容が素敵で、毎度更新を楽しみにしてます！和音さんの世界観大好きです！夢を見させて頂きありがとうございます。応援しています、頑張って下さい！！！！ (2021年3月19日 0時) (
レス) id: 051ec58ae3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和音
| 作成日時：2020年3月8日 18時
