溜まる欲望 ページ10
昼下がり午後、この屋敷の令嬢であるAは一人、部屋で何気なく外を眺めていた。
中庭の木々が青々と優しく光を反射して、心地よい太陽の光が部屋に入っていた。
ふと読みかけの本に目をおとす。そして、しおりを挟み本を閉じ、再び外を眺める。
コンコンコンとドアをノックする音と共に誰かが自分の部屋に入ってくる音がした。振り向かなくてもわかる。自分が呼んだんだもの彼を。
「お呼びでしょうか?」
少しおちょくったような声に振り向くと案の定、彼アドムは悪戯っぽい笑みを浮かべて立っていた。この男のこんな笑みに一体何人の女性が堕ちてきたのか…。
「ええ、呼んだわ。」
そう言って、彼女は彼の方に右手を差し出した。
そして、さっきぶつけてしまって爪が欠けてしまったの。整えてちょうだい。と素っ気なく言った。
彼は、ほんの一瞬だけしかめっ面をする。無理もない。仕事の途中でわざわざやってきたのにその用件が“自分の想像”と違って大したことのない用件だったから。
爪を整えるぐらいならその他のメイドにでもやらせることが出来るが、仕上がりが一番丁寧で早いことはAはよく知っていた。そのため彼に爪を磨かせる。
やはり、一分かかるかかからないかで彼女の爪の欠けている部分は綺麗になり、爪もピカピカに磨かれていた。Aは少し口角をあげ、ありがとう。と言った。
その彼女の綺麗ですべすべとした手にアドムは口づけをする。その口づけをした唇は腕を這うように登って、彼女の首筋へと移動した。
「他に、用件はないの?」
耳元でそっと後ろからつぶやくアドム。
Aは鼻でフフッと笑いながら、ないわ。と彼の誘惑を簡単に払いのけてしまう。
しかし、彼もそんなに簡単には引き下がらない。
「………今夜は?だめ?」
「残念ね。今日はもう疲れてるの。どっかの誰かのせいでね。」
そう言って、横目でアドムの顔を見る。妖艶さの漂う横顔。
アドムは彼女の手を撫でながら再び口を開く。
「久々だったんだ。仕方ないだろ?溜まってんだよ。どっかのお嬢様の我が儘のせいで。」
そう言いながら、アドムは首筋にキスをする。そして、頼むよ。と耳元で声を低くして囁く。しかし、彼女は首を縦にはふらない。彼も我慢の限界だ。彼女の首に顔を埋めキスを繰り返す。
それを、Aは抵抗せずに受け入れる。しばらくして、彼の動きがピタッと止まり、フッと笑い始めた。
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もなか@中身はこしあん(プロフ) - 麗華さん» 学校はじまると何かと忙しいですからね(´-ω-`)麗華さんも暇なときでいいので見に来てくださいね~♪ (2015年9月7日 17時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - もなか@中身はこしあんさん» いえいえです(*・ω・*)学校始まっちゃいましたもんね…やだなぁ(笑)第一章完結お疲れ様でした!番外編も第二章も楽しみにしてます♪ (2015年9月5日 23時) (レス) id: 525612bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 麗華さん» ありがとうございますっ!(っ´ω`c)更新ペースはこれから少し落ちると思いますが、よろしくお願いします。まだまだ序の口ですから、第二章ではもっとドロドロにしていきますよ~(`・ω・´) (2015年9月1日 7時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - もなか@中身はこしあんさん» 「私が来てない間にかなりお話が進んでいる(;°Д°)」とビックリしました(笑)折角なので最初から読み返してみました♪途中で感動して泣いちゃいました…これからも更新楽しみにしてます^^波乱の第二章に突入だ!((黙r (2015年8月31日 16時) (レス) id: 525612bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - しゅうさん» 素敵だなんてっ…そんなっ…(*゜д゜*)とっっても嬉しいです!!ありがとうございます! (2015年8月13日 2時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もなか | 作成日時:2015年5月30日 19時