享楽主義者の思惑 ページ39
「なんでもない…。忘れてくれ。」
そう言って、アドムはため息の混じった息をつく。そして、頬杖をついて再びぼーっと上の空になる。マスターはそんな彼に静かに諭すように言った。
「別に?変じゃないと思うわよ?誰しも恋はするものよ。」
「恋か…。俺には不釣り合いな言葉だな。」
自嘲するようにアドムは鼻で笑った。いつも、自分に自身がある彼がそんなことを言うことは珍しく、マスターはこれはただ事ではないな。と思いアドムの話に耳を傾けようとする。
「もうっ!貴方らしくないわね〜。どうしたのよ〜。相手は誰なの?あんたが今仕えてるとこのお嬢様でしょ?」
「ああ、でもさ、正直好きなのかよくわかんないんだ。自分の気持ちが何処にあって、何処に向かっているのかも…。」
「…そうなのね。」
「もし、仮にこの気持ちが恋愛感情だとしても、叶うはずない。俺とお嬢様のあの乾いた関係から抜け出せない。綺麗な関係にはもう戻れないんだ。」
「苦しいの?」
「分からない。今のこの関係に満足してる自分もいれば、急にもどかしく感じるときもある。もう、分からないんだ。」
そうして元気のない彼に、マスターはスプモーニというカクテルを渡す。今日は特別よ。といって…。スプモーニとは、カンパリの独特の苦味とほのかな甘味が口に広がるお酒で、今の彼にはぴったりのカクテルだとマスターは思った。
「あら、まぁ。あの享楽主義なアドムちゃんはどこに行ったのかしら。」
「俺は今でも享楽主義だよ。快楽を求める為なら何だってする。」
そう言って、アドムはマスターを真っ直ぐにみた。しかし、マスターにはそうは見えなかった。まっすぐとこちらに向けられたら瞳には迷いの色があった。その瞳の色に力はなく、強い光も入っていない。まるで、小さな少年のような瞳。何が正しいのか、自分自身のことも分からない…まるで思春期まっただ中の少年のようね。とマスターはアドムを見ておもった。
「また、いつでも来てね。相談乗るから。」
「さんきゅ。」
夜が深まる中、一人の青年は星空の夜に包まれて、消えていった。
どうも、作者です。もなかです。
私は、他の人の作品を余り見ません。自分の作品を作るので手一杯なんです。(´-ω-`)
でも、読みたいです。参考にしたいです。何かおすすめの作品があったら教えて下さい。
補足:マスターの名前はキャサリン。
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もなか@中身はこしあん(プロフ) - 麗華さん» 学校はじまると何かと忙しいですからね(´-ω-`)麗華さんも暇なときでいいので見に来てくださいね~♪ (2015年9月7日 17時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - もなか@中身はこしあんさん» いえいえです(*・ω・*)学校始まっちゃいましたもんね…やだなぁ(笑)第一章完結お疲れ様でした!番外編も第二章も楽しみにしてます♪ (2015年9月5日 23時) (レス) id: 525612bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 麗華さん» ありがとうございますっ!(っ´ω`c)更新ペースはこれから少し落ちると思いますが、よろしくお願いします。まだまだ序の口ですから、第二章ではもっとドロドロにしていきますよ~(`・ω・´) (2015年9月1日 7時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - もなか@中身はこしあんさん» 「私が来てない間にかなりお話が進んでいる(;°Д°)」とビックリしました(笑)折角なので最初から読み返してみました♪途中で感動して泣いちゃいました…これからも更新楽しみにしてます^^波乱の第二章に突入だ!((黙r (2015年8月31日 16時) (レス) id: 525612bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - しゅうさん» 素敵だなんてっ…そんなっ…(*゜д゜*)とっっても嬉しいです!!ありがとうございます! (2015年8月13日 2時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もなか | 作成日時:2015年5月30日 19時