互いの私情が絡み合う ページ27
Aの約者であるアーサーの到着を万全のスタンバイで待っているアドムは少しだけ心に余裕持っていた。そのアーサーってやつはどんな人なのか気になるのは確かだった。しかし、たかが親が決めめた相手。しかも今日が初対面とも来るとどんなやつかは大体分かる。
そのアーサーってやつが帰ってからAお嬢様の愚痴を聞くのが楽しみだと高をくくっていた。
そんな彼の余裕が真っ向からへし折られることになるとは思わなかった。
「許嫁のアーサー様がお見えになりました。」
え……………。
彼は自分のシナリオとはかけ離れた現実に一瞬思考が停止する。
そこに立っていたのは、とても綺麗な顔をしたAの許嫁だった。
「おっお待ちしておりました。アーサー様」
はっとして、いつも客を迎え入れるようにお辞儀をし、コートや帽子を預かる。
「ああ、ありがとう。」
優しそうににっこりと微笑んだ口元からこれまた優しそうな紳士の声がアドムの耳に入る。清潔で、しなやかで、品があって、どことなく色気もある。…………………これが…Aの…婚約者…。
アドムは、自分の心に煙がかかり、もやもやしていくのがわかった。何故かは分からないがアーサーをAに会わせたくないと思っていた。
しかし、仕事は仕事。胸にもやもやを抱えたままアドムはアーサーをAの待っている客室に案内した。
アーサーは今日が初めての婚約者に合う日だった。正直な話、彼は最初乗り気ではなかった。どうして親が決めた相手を自分が愛さなくてはならないのか…。ほとほとうんざりしていた。面倒だった。
早く終わらせてしまおう。
豪華な屋敷の中をぼんやりと考えていた。
しばらくすると、前を歩いていた召使いが綺麗な飾りが施されたドアの前でピタッと止まった。
「こちらになります。」
顔の綺麗な召使いがコンコンコンとドアをノックする。中から鈴のような可愛らしい、凛とした声でどうぞ。ときこえた。
彼はドアが開き、目の前の少女に目を奪われた。
目の前には、白磁のキメの細かい肌、絹のような柔らかそうな髪、真っ赤でキュッと結ばれた唇。丸くてくりくりした目に光る凛とした強い眼差し。
アーサーは今までで味わったことのない感情が波のようにドッと胸に溢れ出るのが分かった。
なんて美しい人なんだ……。
彼は純粋にそう思った。
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もなか@中身はこしあん(プロフ) - 麗華さん» 学校はじまると何かと忙しいですからね(´-ω-`)麗華さんも暇なときでいいので見に来てくださいね~♪ (2015年9月7日 17時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - もなか@中身はこしあんさん» いえいえです(*・ω・*)学校始まっちゃいましたもんね…やだなぁ(笑)第一章完結お疲れ様でした!番外編も第二章も楽しみにしてます♪ (2015年9月5日 23時) (レス) id: 525612bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 麗華さん» ありがとうございますっ!(っ´ω`c)更新ペースはこれから少し落ちると思いますが、よろしくお願いします。まだまだ序の口ですから、第二章ではもっとドロドロにしていきますよ~(`・ω・´) (2015年9月1日 7時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - もなか@中身はこしあんさん» 「私が来てない間にかなりお話が進んでいる(;°Д°)」とビックリしました(笑)折角なので最初から読み返してみました♪途中で感動して泣いちゃいました…これからも更新楽しみにしてます^^波乱の第二章に突入だ!((黙r (2015年8月31日 16時) (レス) id: 525612bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - しゅうさん» 素敵だなんてっ…そんなっ…(*゜д゜*)とっっても嬉しいです!!ありがとうございます! (2015年8月13日 2時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もなか | 作成日時:2015年5月30日 19時