嫉妬の情か否か ページ24
時が止まったかのようにその場がシン……と静まり返り、庭に咲く花や木々の風にざわめく音が響く。顔を埋めたまま一向に動く気配のないステラを見てアドムは折れてはぁ。と短いため息をついた。
「まぁ、たまにはそんな息抜きもいいかもしれませんね。」
本当ですか!!と目をキラキラさせながら聞いてくるステラに少々苦笑いをしながらはい。と返事をするアドム。はっとしたように顔を赤らめながら飛び退くステラ。
きっと第三者から見れば、使用人の淡い恋愛物語に見えるのかもしれない。アドムはクスッと笑った。
他の仕事があると言ってその場を去ろうとするステラに彼は少しの悪戯をする。
「ステラさん。一つ質問してもいいですか?」
「なっなんですか?」
「俺のどこが好きなんですか?」
「え!?あっ…その!優しくて、頼り甲斐があって、仕事ができて、みんなの事をよく考えていて………かっこいいところ…です。」
恥ずかしそうに俯きながらもはっきりという。そんな風に真っ直ぐに褒められることは二年ぶりでその言葉を心地よく感じる。こんな風にAお嬢様にも素直になって欲しいものだと皮肉を心の中にこぼす。
そして、甘い毒牙をかくした“猛獣”はゆっくりと彼女に歩み寄る。
「それが、全部偽りだったら?先に言っておきますけど、僕はそんな綺麗な人間じゃないと思いますよ?」
艶やかにニッコリと笑みを浮かべるアドムに吸い込まれそうになる感覚をステラは覚える。
彼の顔を見入っているステラにアドムは悪戯っ笑った。
「フフッ…冗談です。早く仕事に。」
「……へ?はっはい!!」
ステラが駆けて行った後、しばらくして後ろから不機嫌そうな声が聞こえてきた。
「随分と楽しそうじゃない。」
そこには冷たい目でこちらを見つめるAの姿があった。
「立ち聞きですか?ご趣味が悪いですよ?A様」
「余計なお世話よ。
「どの辺りから聞いてたんですか?」
「最初からね。」
そう言いながらフンッと鼻を鳴らし、何故か不機嫌そうな顔をする。
「フフ…何を怒ってるの?」
「別に。」
「そんな顔してるとシワができるって前にも言っただろ?」
そう言いながら彼は甘美な表情で彼女の後ろに回り、優しく抱きしめる。
「さっきの女の次は私?冗談じゃないわ、」
Aは彼の腕からするりと抜けて、冷たい眼差しを彼に向ける。
「何?嫉妬してんの?」
そんな彼女の様子を面白そうに彼は見た。
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もなか@中身はこしあん(プロフ) - 麗華さん» 学校はじまると何かと忙しいですからね(´-ω-`)麗華さんも暇なときでいいので見に来てくださいね~♪ (2015年9月7日 17時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - もなか@中身はこしあんさん» いえいえです(*・ω・*)学校始まっちゃいましたもんね…やだなぁ(笑)第一章完結お疲れ様でした!番外編も第二章も楽しみにしてます♪ (2015年9月5日 23時) (レス) id: 525612bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 麗華さん» ありがとうございますっ!(っ´ω`c)更新ペースはこれから少し落ちると思いますが、よろしくお願いします。まだまだ序の口ですから、第二章ではもっとドロドロにしていきますよ~(`・ω・´) (2015年9月1日 7時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - もなか@中身はこしあんさん» 「私が来てない間にかなりお話が進んでいる(;°Д°)」とビックリしました(笑)折角なので最初から読み返してみました♪途中で感動して泣いちゃいました…これからも更新楽しみにしてます^^波乱の第二章に突入だ!((黙r (2015年8月31日 16時) (レス) id: 525612bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - しゅうさん» 素敵だなんてっ…そんなっ…(*゜д゜*)とっっても嬉しいです!!ありがとうございます! (2015年8月13日 2時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もなか | 作成日時:2015年5月30日 19時