彼女が望むのは… ページ22
とりあえず、風邪を引くと行けないので窓を静かにしめる。窓を閉めたことにより、風のそよそよという音はなくなり、しん…。とした静寂がこの部屋の中を埋め尽くした。彼女を起こすべきかどうか悩む。起こしたら、何で起こすのよ!と小言を言われそうだし、起こさなかったら起こさなかったで色々と文句を言われそうだった。
うんうんと悩見ながら彼女に目を向けていると、彼女の読みかけであろう本が開いた状態で置いてあることに興味がそれる。そして、何も考えずに、その本を手に取る。本のタイトルを見たところ見たことのないタイトルで、興味本位にパラパラとめくる。
話の内容はこうだ。
あるお屋敷に住んでいる金持ちのわがままなお嬢様とひとりの男性がいた。その男性もまた金持ちの貴族で、優しくて、誠実で、容姿もいいと三拍子揃っていた。ある日、二人は舞踏会で出会い恋に落ちる。今まで恋をしたことがなかったお嬢様は不器用ながらもその男性に思いを伝えようとする。
淡い、純粋な恋物語のようだ。
彼は、結末を見ずに途中でパタリと本を閉じる。そんなアドムの表情は曇っていた。
正直言って、Aにこんな純粋な内容の本は似合わない。それは、彼女との2年間の生活を考えればそう思わざるおえない。ただ、この本みたく彼女が純粋な愛を求めていないとは思えなかった。自分とのこんな不純な関係よりも、本当にあったかくて、優しい純粋な愛を望んでいるのだろうか?もし、それが現実になったら…自分は、きっと彼女を求めることを許されはしないだろう。“彼女から”捨てられる。
アドムは女との関係を絶つ時は必ず自分から捨てていった。捨てられたことなど一度もなかった。自分の親を除いては…。だから、捨てられると思ったことが初めてで、動揺する。
彼女は単なる人の温かさが欲しいと言った。だが、本当は純粋な愛が欲しくて…。これは、もう汚れきったアドムにはわからない感情だから埋めることはできないだろう。
そこまで考えて自分がこの部屋に何をしに来たのかを思い出す。はっとして、もつ容赦なくAを起こす。
「お嬢様!起きてください!夕食の準備が整いました!」
すると、鬱陶しそうな顔をしながら目をこすり、体を起こすA。不機嫌そうに分かったわよ。と返事をするA。
そんないつもの彼女をみて、アドムは先ほど考えていたことをすべて取り去った。
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もなか@中身はこしあん(プロフ) - 麗華さん» 学校はじまると何かと忙しいですからね(´-ω-`)麗華さんも暇なときでいいので見に来てくださいね~♪ (2015年9月7日 17時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - もなか@中身はこしあんさん» いえいえです(*・ω・*)学校始まっちゃいましたもんね…やだなぁ(笑)第一章完結お疲れ様でした!番外編も第二章も楽しみにしてます♪ (2015年9月5日 23時) (レス) id: 525612bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 麗華さん» ありがとうございますっ!(っ´ω`c)更新ペースはこれから少し落ちると思いますが、よろしくお願いします。まだまだ序の口ですから、第二章ではもっとドロドロにしていきますよ~(`・ω・´) (2015年9月1日 7時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - もなか@中身はこしあんさん» 「私が来てない間にかなりお話が進んでいる(;°Д°)」とビックリしました(笑)折角なので最初から読み返してみました♪途中で感動して泣いちゃいました…これからも更新楽しみにしてます^^波乱の第二章に突入だ!((黙r (2015年8月31日 16時) (レス) id: 525612bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - しゅうさん» 素敵だなんてっ…そんなっ…(*゜д゜*)とっっても嬉しいです!!ありがとうございます! (2015年8月13日 2時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もなか | 作成日時:2015年5月30日 19時