アップルティーの香り ページ3
アドムは元着た道を引き返し、厨房で紅茶の準備をした。そして、それを持ってA様の元へと向かう。
綺麗な装飾が施されたドアの前で立ち止まりコンコンコンと三回ノックする。すると中からはい。と返事が聞こえた。失礼します。といいながら部屋に入るとそこにはベッドの上にちょこんと座っている少女がいた。
「今日はお目覚めが早いですね。」
アドムは少しからかうように言うと、Aは眉をピクリと動かし、口を開いた。
「ふんっ。しらじらしい。貴方が私にキスなんかするから起きちゃったのよ。」
そう言う彼女の顔は真っ赤……ではなく、本当に不機嫌そうだ。
その顔を見たアドムは少し不快感を覚える。少しムッとしたアドムはすかさず獲物を捉える毒蜘蛛のようにチクリと言葉でさしてやる。
「フフ……昨夜はあんなに素直だったじゃないですか?」
それを聞くとAはよりいっそう不機嫌そうな顔をして、アドムを睨んだ。
「それ以上言うと怒るわよ?」
もう怒ってるとアドムは口からポロッと零れしまいそうだったが、これ以上不機嫌になられても困るので、すみません。と謝り、紅茶を入れ始める。
部屋には紅茶のいい香りが漂い始め、少しずつ部屋を満たす。
「今日は、アップルティーにしました。Aお嬢様。」
綺麗な装飾が施されたカップを受け取ると、ふぅ。と少しずつ紅茶を冷ましながらゆっくりと体に流し込む。一口、二口飲んだところでAは口を開いた。
「その喋り方止めてくれる?二人だけの時は止めてって言ってるでしょ?」
すると、彼は悪戯っぽくにやっと笑い、先ほどまでピシッとしていたら背筋を緩め、片足に重心をかけ、楽な姿勢をとる。そして、呆れたようにはーっと息を吐き、さっきのメイドに話していた時の態度とは真逆の物となる。
「これが俺の仕事なんだけど?」
「そんなの私の知ったことじゃないわ」
そう、アドムはAの執事である。そして、特に恋人でも愛人でもない。本当に執事である。そしてまた、この二人の間に恋心なんてものはなかった。
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もなか@中身はこしあん(プロフ) - 麗華さん» 学校はじまると何かと忙しいですからね(´-ω-`)麗華さんも暇なときでいいので見に来てくださいね~♪ (2015年9月7日 17時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - もなか@中身はこしあんさん» いえいえです(*・ω・*)学校始まっちゃいましたもんね…やだなぁ(笑)第一章完結お疲れ様でした!番外編も第二章も楽しみにしてます♪ (2015年9月5日 23時) (レス) id: 525612bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 麗華さん» ありがとうございますっ!(っ´ω`c)更新ペースはこれから少し落ちると思いますが、よろしくお願いします。まだまだ序の口ですから、第二章ではもっとドロドロにしていきますよ~(`・ω・´) (2015年9月1日 7時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - もなか@中身はこしあんさん» 「私が来てない間にかなりお話が進んでいる(;°Д°)」とビックリしました(笑)折角なので最初から読み返してみました♪途中で感動して泣いちゃいました…これからも更新楽しみにしてます^^波乱の第二章に突入だ!((黙r (2015年8月31日 16時) (レス) id: 525612bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - しゅうさん» 素敵だなんてっ…そんなっ…(*゜д゜*)とっっても嬉しいです!!ありがとうございます! (2015年8月13日 2時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もなか | 作成日時:2015年5月30日 19時