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口から漏れるのは ページ20

「冷たいな…」

「当たり前じゃない。」

そして、Aは自分の上にいるアドムを押しのけ、背を向けて寝息を立て始める。彼はそんな彼女を見つめてから、腕を組み天井を見る。前に仕えてた屋敷の令嬢は執着心が強くて、日を増すごとにアドムに依存していくようになった。愛してる。なんて甘いセリフは日常茶飯事、しかし甘いお菓子は毎日毎日食べると飽きて来るもので…。だんだんとスリルと刺激と快楽のバランスが感じ取れなくなり、あの屋敷を去った。

このAの口からそんな甘い囁きが聞こえるのは一体いつになるのか…。

Aが寝返りをうってこちらを向く。気持ちよさそうにスヤスヤと眠っている彼女に手を伸ばそうとして止める。この前怒られたことを思い出したからだ。そして、しばらくして彼もふかふかのベッドに身を沈めていった。




二時間後、彼は息苦しさで目を覚ます。視界がぼやつく中よくよくみるとAが彼に思いっきり抱きついていた。寝るときは、素っ気なく背を向けていたのにと思い、クスリと笑う。互いに何も纏ってはいないため、肌の感触や胸の感触がじかに伝わる。彼は何も抵抗せずにその彼女の柔らかさにしばらく酔いしれる。

少しずつ昇ってきた朝日が差し込み、部屋の中を照らす。
もうそろそろ支度をしないと……。
自分に抱きついたAを起こさないようにゆっくりと彼女の腕から離れようとし始めたときだった。

「……ん。…………アドム。」

その声に彼の動きが止まる。寝言なのか何なのか分からない声に思わず何?と返事をしてしまう。彼女の顔を見ると案の定、ぐっすり爆睡している。空耳か?寝言か?そんなことを思いながら再び彼が動き始めたとき、彼女が再び口を開く。

「……………………………好きよ。」

「……え?」

聞き間違いだとは思わなかった。その言葉は突然だった。でも、確かに彼女の唇は確かに好きよ。と言った。何かの夢か?否………。

それを聞いた彼は、何ともいえない息苦しさを感じる。心臓がドクドクと訳も分からず動き出し、自然と息が上がる。何なんだよこれ…。考えれば考えるほど彼は息苦しくなっていく。

彼は着替えて足早に部屋を出る。廊下につるしてあった鏡に写る彼の顔は少し赤くなっていた

背後で回る歯車の小さな小さなネジが外れる音がした。しかし、それはあまりにも小さくて誰の耳にも届かなかった。少しずつ狂いだした歯車が取り返しのつかないものになるなんてこの時いったい誰が予想できただろうか。

異変→←甘い言葉を求める



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設定タグ:シリアス , 恋愛 , 名前変換オリジナル   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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もなか@中身はこしあん(プロフ) - 麗華さん» 学校はじまると何かと忙しいですからね(´-ω-`)麗華さんも暇なときでいいので見に来てくださいね~♪ (2015年9月7日 17時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - もなか@中身はこしあんさん» いえいえです(*・ω・*)学校始まっちゃいましたもんね…やだなぁ(笑)第一章完結お疲れ様でした!番外編も第二章も楽しみにしてます♪ (2015年9月5日 23時) (レス) id: 525612bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 麗華さん» ありがとうございますっ!(っ´ω`c)更新ペースはこれから少し落ちると思いますが、よろしくお願いします。まだまだ序の口ですから、第二章ではもっとドロドロにしていきますよ~(`・ω・´) (2015年9月1日 7時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - もなか@中身はこしあんさん» 「私が来てない間にかなりお話が進んでいる(;°Д°)」とビックリしました(笑)折角なので最初から読み返してみました♪途中で感動して泣いちゃいました…これからも更新楽しみにしてます^^波乱の第二章に突入だ!((黙r (2015年8月31日 16時) (レス) id: 525612bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - しゅうさん» 素敵だなんてっ…そんなっ…(*゜д゜*)とっっても嬉しいです!!ありがとうございます! (2015年8月13日 2時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もなか | 作成日時:2015年5月30日 19時

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