甘い言葉を求める ページ19
アドムはふてくされたようにそっぽを向き、ドンっと頬杖をついた。そんな彼の様子を見て、マリーは楽しそうに口を開いた。
「ふふ、四年前と比べて随分と色っぽい顔になったんじゃない?でも、中身は相変わらずね。」
その言葉をそっくりそのまま返してあげようか?と彼は思った。四年前に比べて、マリーは確かに色っぽく綺麗になった。しかし、彼女のそのマイペースで、少々毒舌なところは未だご健在のようだ。彼女は、彼の連れない顔を気にせず、彼と別れてからの四年間のことをベラベラと話し始める。マリーもまたアドムと同じく享楽主義的なところがあるため、この四年間、甘い日々を送っているようだった。そして、彼女の話の話題は自分のことからアドムの先程の口説き方の批評についてに変わる。
「貴方、本当に昔よりも口説き方下手になったんじゃない?下心が丸見えじゃない。まるで飢えた狼ね。」
「実際に飢えてんの。」
ため息混じりに小さな声で言ったが、案の定、周りのがやがやした声にかき消されていった。
「実は私、もう顔見たときから気づいててね。久々の再会何だしちょっとからかってやろうって思っててね。まぁ、あそこまで旨く行くとは思わなかったけど…」
くすくすと笑いながら肩を揺らすマリー。アドムは、再び心の中で最悪だ…。と思った。彼はさっきからずっとマリーの手の裏で転がされていたわけだ。さっきまで居心地が良かったパブだったが、すっかり悪くなってしまった彼は一言帰る。と言って立ち上がった。
「あら、自分から誘っといてそれ?いいけど…。どっちにしろ私、先客がいるし。」
そんな言葉を背に、苦い気分のままパブをあとにした。
「まぁ、帰ってきて正解だったけど…」
「享楽主義もなかなか苦労するのね。」
一通りの話が終わった時、Aはアドムが約束を破ろうとしたことを怒るどころか、少し馬鹿にしつつも哀れみの目を彼に向けた。すると、彼はいきなり彼女を押し倒したような体勢になり、優しく髪を撫でた
「そうなんだよ。俺も結構苦労してんの。だから、甘い言葉の一つや二つ言ってくれたっていいだろ?」
アドムは彼女の白磁の肌にキスをする。そして、吸い込まれそうな瞳をして、彼女を見つめる。彼の顔に月明かりが差し込み、冷酷で色っぽい感じをよりいっそう醸し出していた。
Aは今にも襲いかかってきそうな顔をした狼を前にして冷静に言った。
「私は、本当に好きな人にしかそういう言葉は云わないの。」
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もなか@中身はこしあん(プロフ) - 麗華さん» 学校はじまると何かと忙しいですからね(´-ω-`)麗華さんも暇なときでいいので見に来てくださいね~♪ (2015年9月7日 17時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - もなか@中身はこしあんさん» いえいえです(*・ω・*)学校始まっちゃいましたもんね…やだなぁ(笑)第一章完結お疲れ様でした!番外編も第二章も楽しみにしてます♪ (2015年9月5日 23時) (レス) id: 525612bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 麗華さん» ありがとうございますっ!(っ´ω`c)更新ペースはこれから少し落ちると思いますが、よろしくお願いします。まだまだ序の口ですから、第二章ではもっとドロドロにしていきますよ~(`・ω・´) (2015年9月1日 7時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - もなか@中身はこしあんさん» 「私が来てない間にかなりお話が進んでいる(;°Д°)」とビックリしました(笑)折角なので最初から読み返してみました♪途中で感動して泣いちゃいました…これからも更新楽しみにしてます^^波乱の第二章に突入だ!((黙r (2015年8月31日 16時) (レス) id: 525612bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - しゅうさん» 素敵だなんてっ…そんなっ…(*゜д゜*)とっっても嬉しいです!!ありがとうございます! (2015年8月13日 2時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もなか | 作成日時:2015年5月30日 19時