サンカクな気持ち ページ9
A、ハク、紫苑の三人で長く、薄暗い廊下歩く。Aの視線は自然と前を歩くハクに映る。随分と背が高くなってしまった。後ろ姿も本当に変わってしまった。そんな事を彼女は考える。
変な沈黙が続き、三人の足音だけが響く。そんな中Aは、何か話の話題がないか必死に探す。そして、しばらくしてから口を開いた。
「そっそういえば紫苑……どこをほっつき歩いてたの?随分と来るの遅かったけど…」
「んー?…あぁ、最上階ってのは分かったんだけど…なんせ部屋が多くて分かんなくてさ、色んな人に聞いてみても知らねぇって言うからさ、取り敢えず雲だして、乗って探してたら皆騒ぎ出して…」
「変なことしないでって言ったのに…」
「わりぃ、わりぃ。」
そこで、彼との会話は終わってしまう。再び戻ってくる重苦しい沈黙。紫苑の方をチラリと見てみると彼は、窓にあがる月を見ながら歩いていた。やっぱりAは、この沈黙に耐えきれず今度はハクに話しかける。
「ねっねぇ……ハク。」
その呼びかけに少しだけ紫苑も反応する。
「どうしたの?A。」
「あっ…えっと…ほっ他の皆は元気かな?」
そう言うと、彼はAの方を向きニコッと笑った。その柔らかな笑みに彼女は少しだけ胸が高鳴った。
エレベーターに乗り込みながら彼は、答える。
「皆、相変わらずだよ。……Aは…元気だった?」
うん、元気だよ。と答える前にAに後ろからもたれ掛かるように紫苑が多い被さってきた。これは、彼のいつもの癖でA自信もそんなに気にとめていなかった。彼女の代わりに紫苑が答える。
「元気に決まってんだろ?俺が面倒見てんだからさ。なぁ?」
「私が面倒見てるの間違いでしょ?」
小さくため息をつく彼女。紫苑の方は、彼女の頭に顎を乗せて、フンフンと鼻歌を歌っている。
「…そうか。」
ハクは彼の返事に冷たく相槌をうっただけで、それからは黙り込んでしまった。その綺麗に切りそろえられた黒髪の奥の俯く顔がどのような顔をしているかは彼女の方向からでは確認できなかった。
エレベーターを降り、ギシギシ軋む廊下を歩くと、湯女や兄役達がこの三人の独特な雰囲気に引き寄せられてなんだ、なんだ。と群がっていく。少し大きめな空間に出る頃には声をかけずとも人だかりが出来ていた。
「皆、よく聞いてくれ!」
ハクが声を上げる。其の声に一同は背筋をピンと伸ばす。其の様子は、彼がいかに周りからの尊敬を受けているかが伝わるほどだった。
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レモン(プロフ) - はじめまして、ハクも格好いいけど紫苑の方が可哀相に思えて、紫苑が好きになってきました。これからも応援してます! (2019年1月20日 22時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
しろ - ほほぅ…誤って評価を…ならあなたのかわりに私がいれないでおきます((ニコッ あ!ごめんなさい。誤作動でおしちゃいました★ (2018年12月15日 21時) (レス) id: 7e3c093cf9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し43692号(プロフ) - 作者様から返事が、、!ありがとうございます(^O^) 紫苑君の活躍期待してます!笑 ずっと応援してます(^-^)/ (2016年3月26日 19時) (レス) id: 9d06ba8ba1 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 季紀さん» 季紀さん!?君の手シリーズ読んでました!(`・д・´)売ってる本みたいだなんて…そんなそんな…!ありがとうございます!これからも頑張らせていただきます! (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 名無し43692号さん» ありがとうございます!紫苑君、これから結構活躍するはずです!見届けてあげて下さい!よろしくお願いします!(´▽`)ノ (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もなか | 作成日時:2015年11月19日 1時