幕を開けた戦争 ページ8
Aは、湯婆婆の魔法によって引きずり出された紫苑を知らない人として知らん顔をする事にした。ハクに握られたままの手が熱く感じ、恥ずかしさと気まずさから彼と目を合わせられない。
しばらくその場にいってぇーな…。何なんだよ…。とうずくまり、小言を言う彼。しばらくして立ち上がった紫苑は、彼女の方を、いや、ハクの方を見ると、先ほどの痛そうにしかめた顔はがらりと変わった。
そして、紫苑は、二人の方に近寄り、ハクからAを乱暴に引き剥がす。びっくりするハクに彼は、言った。
「…てめぇがハクか?」
「……??そうだが…?」
「ふ〜ん…これは、噂通りのご立派な面構えで」
挑発するようにあざ笑うように言う彼の言葉にさすがのハクもイラッとしたのだろう。形の整った眉がピクリと動く。
「ちょっちょっと!!紫苑!変なこと言わないでよ!」
必死にAは、彼を止めにはいるが彼はハクを睨んだままだ。ハクも先程の優しそうな表情とはうってかわって紫苑に冷たい目線を送りながら口を開く。
「Aとどういう関係なんだ?」
すると、紫苑は待ってましたとばかりに彼女の肩をグイッと引き寄せた。それを見たハクは再び眉をピクリと動かした。しかし、Aはそんなハクの表情を捕らえることは出来なかった。
「どういうって…見たとおりの関係だけど?」
そして、紫苑は自分の頬をAの頬に近づけた。そして悪戯っぽく嫌みたっぷりな笑みをハクに送る。紫苑とAのお揃いのピアスが重なり合い、キラキラと音を立てた。
「ちょっと!!変な誤解うむような言い方しないでって言ったでしょ!」
Aは、紫苑から体を離すと湯婆婆の方に向き直った。
「申し訳ありません、湯婆婆様。彼も…紫苑も一緒に働かせてください。」
「いつからお前はそんなに我が儘になったんだ?…ったく。穀潰しがまた一人増えちまった。」
早く行ってくれ。と湯婆婆は手をひらひらさせた。彼女は、すぐ後ろでハクの小さなため息が聞こえた。きっと先ほどのやりとりで嫌な想いをしたのだろう。謝らなければ鳴らないな…。と彼女は思った。
「A、おいで。案内するよ。六年も間があいてしまったからね。それなりに油屋も変わってるんだ。……………其方も着いてきてくれ。」
ハクは、紫苑に少し冷たい目を向けた。紫苑の方もフンッ!とつっけんどな態度をとる。Aの背中に一筋の冷や汗が流れた。
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レモン(プロフ) - はじめまして、ハクも格好いいけど紫苑の方が可哀相に思えて、紫苑が好きになってきました。これからも応援してます! (2019年1月20日 22時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
しろ - ほほぅ…誤って評価を…ならあなたのかわりに私がいれないでおきます((ニコッ あ!ごめんなさい。誤作動でおしちゃいました★ (2018年12月15日 21時) (レス) id: 7e3c093cf9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し43692号(プロフ) - 作者様から返事が、、!ありがとうございます(^O^) 紫苑君の活躍期待してます!笑 ずっと応援してます(^-^)/ (2016年3月26日 19時) (レス) id: 9d06ba8ba1 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 季紀さん» 季紀さん!?君の手シリーズ読んでました!(`・д・´)売ってる本みたいだなんて…そんなそんな…!ありがとうございます!これからも頑張らせていただきます! (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 名無し43692号さん» ありがとうございます!紫苑君、これから結構活躍するはずです!見届けてあげて下さい!よろしくお願いします!(´▽`)ノ (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もなか | 作成日時:2015年11月19日 1時