ハクの思考回路 ページ7
いつから私の頭の中はAに支配されるようになったのか。
独りで大丈夫だろうか?
寂しくないか?
いつ帰ってくるのか?
一日中、仕事中も気がつけば彼女のことで頭がいつぱいだった。それほどまで私は彼女のことを大切に思っていたのか。
笑いが止まらない。なんて自分は愚かなのか。そんなに簡単なことにどうして気づけなかったのか。何時も「ハクッ!聞いてきいて!あのね!!」と走り寄ってくる彼女が、何時も「ねぇ、ハク。何か手伝おうか?」と気を遣ってくれる彼女が、見慣れていて当たり前すぎて…。
大切な者は失って気づく。
そう言う言葉は人間にだけ通用するものだと思ってた。けど、違った。神様にだって通用する。“大切”という気持ちが一体どういう意味なのかよく分からないが、答えが出るか分からないが、今は彼女の帰りを待とう。
それから気づいたら六年の歳月が流れた。それは、突然だった。いつもの朝、彼女の居ない朝。慣れすぎて寂しさも薄くなっている頃だった。目の前に突然現れだ。
今、一番会いたかった人。
長い時間が流れた。ひさびさに見る彼女はすっかり変わっていた。
肩までの黒髪は腰まで長く、美しく伸び、曙色の生地に咲くたくさんの白い花々を散りばめた着物、化粧も覚えたんだろう唇は薄紅がさしてあった。綺麗になっていた。けど、あの強気な、でキラキラした目は
-----------------あのときのままだった。
「……A!!」
思わず彼女の手を取り、握った。
千尋が数年前に帰ってきたけれど、これほど喜びはしなかったと思う。
「…ハ…ク?」
少し驚いた、戸惑った表情で私の名前を呼ぶ彼女。
「久しぶりだね、A。帰ってきて良かった。」
そう言ってほほえむと、彼女も優しくふわりと微笑む。そこには六年前にはなかった大人の色気が少し混じっていて私は少し気恥ずかしい気持ちになった。
湯婆婆の咳払いで我に返り、此処へ来た理由を思い出し、そのまま湯婆婆の方を向く。
「湯婆婆様。ここに変な輩が入ってきたという報告がありました」
すると、湯婆婆が不機嫌そうに言った。
「A、私は帰ってこいと言ったが、男も一緒とは聞いてない。」
え?どういう…
それと同士に湯婆婆は何か引っ張る動作をした。すると、勢いよくドアが開き、
「うわぁぁぁぁ!?なんだよ?!これ!」
という叫びと共に黒い甚平と髪の男が転がり込んできた。
チラリとAを見ると気まずそうに顔をそらされた。
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レモン(プロフ) - はじめまして、ハクも格好いいけど紫苑の方が可哀相に思えて、紫苑が好きになってきました。これからも応援してます! (2019年1月20日 22時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
しろ - ほほぅ…誤って評価を…ならあなたのかわりに私がいれないでおきます((ニコッ あ!ごめんなさい。誤作動でおしちゃいました★ (2018年12月15日 21時) (レス) id: 7e3c093cf9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し43692号(プロフ) - 作者様から返事が、、!ありがとうございます(^O^) 紫苑君の活躍期待してます!笑 ずっと応援してます(^-^)/ (2016年3月26日 19時) (レス) id: 9d06ba8ba1 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 季紀さん» 季紀さん!?君の手シリーズ読んでました!(`・д・´)売ってる本みたいだなんて…そんなそんな…!ありがとうございます!これからも頑張らせていただきます! (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 名無し43692号さん» ありがとうございます!紫苑君、これから結構活躍するはずです!見届けてあげて下さい!よろしくお願いします!(´▽`)ノ (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もなか | 作成日時:2015年11月19日 1時