悩みの種は ページ44
次の日の朝、とても清々しい朝だった。
ハクへの想いも忘れて、紫苑の想いに真正面から向き合っていきたい。
そう思えるような朝だ。
手早く支度を済ませ、廊下に出る。大きく伸びをすると、後ろから「おはよう、A。」と声をかけられた。ハクだ。
「おはよう、ハク。」
「A、今日は早いんだね。」
「そうかなぁ。…紫苑が酔いつぶれて心配だから、ちょっと様子みてこようかなって。」
「…そうか。」
そういうと、私はハクに背を向けて足早に歩き出した。彼が複雑そうな表情で見送っているという事を、彼自身も私も知らないまま。
「はぁ……。」
私の横からAのため息が漏れるのが聞こえる。心配そうな彼女の横顔を見ると何故だか心がモヤモヤとした雲に覆われるようだった。Aの心配の根源は紫苑だろう。
朝早くから起きて紫苑の様子を見に行ったらしいのだが、流石に男が寝泊まりする部屋に彼女を入らせることを許されなかったようだ。
きっとAの心の中は紫苑のことで一杯なのだろう。
そう考えれば考えるほど、胸の奥が締め付けられるような気がした。
「A、紫苑ならきっと大丈夫だよ。」
そうAにほほ笑みかける。しかし、返ってくるのは苦笑いする彼女の顔。
その時だ、「A〜…。」
少し気だるそうな声で、紫苑が長い髪を垂らしてこちらへ歩いてきた。
Aの顔がぱあっと明るくなるのが分かった。その瞬間、再び胸がぎゅっと締め付けられる。
「紫苑、大丈夫？…だから駄目って言ってるのに…。」
「わーってるって…頭痛い…。」
「もう少し休んだ方がいいんじゃない？」
紫苑に駆け寄るA。
紫苑が数年前の私の姿と重なる。客相手の杯に酔った私に心配そうに声をかける千尋…。もし、Aが私のそばにいてくれたなら、千尋じゃなくてAが私に駆け寄ってくれたのだろうか…？私のことを思って心配してくれただろうか？私のことで頭が一杯になってくれたのだろうか？
そんな昨晩にも似た戯言がふつふつと頭をよぎる。
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レモン(プロフ) - はじめまして、ハクも格好いいけど紫苑の方が可哀相に思えて、紫苑が好きになってきました。これからも応援してます！ (2019年1月20日 22時) (
レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
しろ - ほほぅ…誤って評価を…ならあなたのかわりに私がいれないでおきます((ﾆｺｯ あ！ごめんなさい。誤作動でおしちゃいました★ (2018年12月15日 21時) (レス) id: 7e3c093cf9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し43692号(プロフ) - 作者様から返事が、、！ありがとうございます(^O^) 紫苑君の活躍期待してます！笑 ずっと応援してます(^-^)/ (2016年3月26日 19時) (レス) id: 9d06ba8ba1 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 季紀さん» 季紀さん！？君の手シリーズ読んでました！(｀・д・´)売ってる本みたいだなんて…そんなそんな…！ありがとうございます！これからも頑張らせていただきます！ (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 名無し43692号さん» ありがとうございます！紫苑君、これから結構活躍するはずです！見届けてあげて下さい！よろしくお願いします！(´▽`)ノ (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もなか | 作成日時：2015年11月19日 1時
