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赤い頬 ページ40

「あ…A〜。見ぃーつけたぞぉ〜。」

ベロンベロンに酔った紫苑は、へらへらと笑いながらこともあろうに公衆の場で私にガバッと抱きついた。どしっとのしかかる紫苑。その重みに耐えきれず、私はドミノ倒しで押し倒される。

「兄貴ーっ!だっ大丈夫ですか!?」

兄役達が不安そうに口々に問う。どっこいしょ。と兄役達に再び抱えられる紫苑。しかし、紫苑はその兄役達の手をバッ!と払って私に抱きつき、体重をかける。

「はぁなせよ!俺はぁ、Aと一緒がいいつってんだろぉ!?」
「ちょっと…ちゃんとしてよ!紫苑。」

「すみません…A様。兄貴が酒に弱いこと知らずに…。」

すまなさそうに頭を下げる兄役達。しかし、これは自分が酒に弱いと分かっていながら口にした紫苑のせいだ。彼らを責めるべきではない。

「いや、いいの。紫苑が悪いんだから。ちょっと隅っこで休ませてあげたいから、桶とタオル持ってきてくれる?」

そう言うと、私は紫苑を抱えて大客間の隅に移動する。その間も紫苑は鼻歌を歌って上機嫌だ。全く、次の日になったら『わりぃ。全然、覚えてない。』ていうのがオチだから溜め息が出てしまう。

私は、紫苑を寝かせると、桶とタオルを貰った。紫苑は、まだ楽しそうにへらへらと笑っている。だいぶ酔っているようだ。

「A〜、手ぇ握ろうぜ〜。」
「本当に大丈夫?水、飲む?」

「話そらすなってばぁ〜…ほらぁ!ぎゅっ!」

そう言って無理やり私の手を取り、手を握った。大きくて、少し角張った手が私を包む。

「紫苑は、酒に弱いのか?」

声をかけられ、見上げるといつの間にかハクが立っていた



いつもの威勢の良さをなくし、ぐったりとする紫苑を見た。彼女が私達を残して彼の方へ走っていくのを見たとき、何だか切ないような気持ちになった。

彼は相当酔っているようで、Aに抱きついていた

「ハク、大丈夫?」
「え?何が?」

「顔、暗いよ?」
「気のせいだろう。」

千尋にそんなことを謂われながら、私はお酒をぐいっと飲む。

しばらくして、千尋は他の所へ行ってしまい、一人で居ると他の湯女がくっついてくるので、とりあえず私はAの所へ言った。

「紫苑は、酒に弱いのか?」
「うん…。そうなの。旅の途中でも何回かこうなることがあってね。自分で規制がかけられないみたいで…。」

呆れたように笑うA。紫苑の手に握られた彼女の手を見て、


──────少しだけ苛ついた。

気がした。

切なさを感じる→←酔った彼



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設定タグ:千と千尋の神隠し , ハク , 作者は自由人   
作品ジャンル:恋愛
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レモン(プロフ) - はじめまして、ハクも格好いいけど紫苑の方が可哀相に思えて、紫苑が好きになってきました。これからも応援してます! (2019年1月20日 22時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
しろ - ほほぅ…誤って評価を…ならあなたのかわりに私がいれないでおきます((ニコッ あ!ごめんなさい。誤作動でおしちゃいました★ (2018年12月15日 21時) (レス) id: 7e3c093cf9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し43692号(プロフ) - 作者様から返事が、、!ありがとうございます(^O^) 紫苑君の活躍期待してます!笑 ずっと応援してます(^-^)/ (2016年3月26日 19時) (レス) id: 9d06ba8ba1 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 季紀さん» 季紀さん!?君の手シリーズ読んでました!(`・д・´)売ってる本みたいだなんて…そんなそんな…!ありがとうございます!これからも頑張らせていただきます! (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 名無し43692号さん» ありがとうございます!紫苑君、これから結構活躍するはずです!見届けてあげて下さい!よろしくお願いします!(´▽`)ノ (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もなか | 作成日時:2015年11月19日 1時

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