酔った彼 ページ39
どうしよう…。またあの時の…六年前と同じだ。千尋ちゃんのことは好きだ。嫌いなんてことはない。けど、私を置いてけぼりにして弾む二人の会話。やっぱり時間を空けてもこれは、この辛さからは抜け出せない。
私は、助けを乞うように紫苑の方を見た。紫苑は、湯女達に囲まれてちやほやされている。こんな経験、滅多にないのだろう。鼻の下を伸ばしている。私の心の中にどっと不安が溢れる。
私は、紫苑が青蛙から貰ったお酒をちょびっとだけ飲む。“私は”お酒に強い方だからこれぐらいどうってことない。
「ねぇ、Aちゃん！」
急に千尋ちゃんから話しかけてきた為、びくりと体が反応し、御猪口を落としそうになる。
「な、何？」
再び千尋ちゃんは身を乗り出しながら、先程よりも目をキラキラさせて言った。
「紫苑さんとは、どういう関係なの？！」
「え！？」
「なっ…！ちっ千尋！？」
何故か私と一緒にハクもびっくりして目を丸くする。私は、紫苑をちらりとみる。相変わらず鼻の下を伸ばしている。次にハクをチラリとみる。一瞬だけ、彼と目があったが彼はすぐに目をそらし、酒を少しのんだ。
「お姉様達や兄役達も気になってるんだって！ねぇ、そこの所どうなの？」
「えっえっと…」
「千尋、Aが困ってる。」
ハクが止めにかかるがお構いなしの千尋ちゃん。年頃の女の子なんだ。こんな話に興味がわかないわけない。
どう言うべきか…。変な誤解は招きたくない。紫苑に告白はされたと言っておいた方がいいのか…。悪いのか…。
「わっ私と紫苑は…その…。」
「A様ーーーーっ！」
その答えは、一人の兄役によってかき消された。
「何？どうしたの？」
思いも寄らぬ救世主に私の心は安堵する。兄役は、飛び出した目がもっと飛び出そうなくらいに慌てている。
「紫苑の兄貴が…兄貴が…っ！」
「ん？紫苑がどうしたの？………って紫苑！！」
そこには大客間の中央で、ぐったりと力なくうなだれて両脇を兄役に抱えられている紫苑の姿が目に飛び込んできた。
私は、急いで紫苑の元へと駆け寄った。
顔は耳まで真っ赤だ。
大体何が起こったか予想はつく。私は、紫苑の肩を揺さぶる。
「ちょっと！紫苑！大丈夫！？もう！お酒は飲んじゃだめっていつも言ってたでしょ！？」
そう、紫苑はお酒にとっても弱いのだ。弱いと言ってもただ弱いのとは訳が違う。御猪口一杯の酒でも簡単にベロンベロンになるのだ。
だからさっきの青蛙からのお酒も止めたのにっ！
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レモン(プロフ) - はじめまして、ハクも格好いいけど紫苑の方が可哀相に思えて、紫苑が好きになってきました。これからも応援してます！ (2019年1月20日 22時) (
レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
しろ - ほほぅ…誤って評価を…ならあなたのかわりに私がいれないでおきます((ﾆｺｯ あ！ごめんなさい。誤作動でおしちゃいました★ (2018年12月15日 21時) (レス) id: 7e3c093cf9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し43692号(プロフ) - 作者様から返事が、、！ありがとうございます(^O^) 紫苑君の活躍期待してます！笑 ずっと応援してます(^-^)/ (2016年3月26日 19時) (レス) id: 9d06ba8ba1 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 季紀さん» 季紀さん！？君の手シリーズ読んでました！(｀・д・´)売ってる本みたいだなんて…そんなそんな…！ありがとうございます！これからも頑張らせていただきます！ (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 名無し43692号さん» ありがとうございます！紫苑君、これから結構活躍するはずです！見届けてあげて下さい！よろしくお願いします！(´▽`)ノ (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もなか | 作成日時：2015年11月19日 1時
