番外編 ifの世界で ページ35
「ほら、じっとして…動かないで。」
耳元にあったカオナシさんの唇が、首をつたって鎖骨あたりまで降りてくる。
急な展開、すぐ近くで眠る貧乏神君。心臓が大きく音をたててなり始める。すぐ襖の向こうでは他の湯女や兄役が行ったり来たりしている。
その時だ。
「ふっ……ふふふ。あっははっ…。」
私の肩に顔をうずめたカオナシさんが肩を震わせ笑い始める。
え、なに!?どうしたの?
頭の中に飛び交う沢山の疑問符。カオナシさんはさっと離れた。そして、依然として肩を震わせ笑いながら言った。
「冗談だよ、冗談。もー、Aちゃん必死すぎだよ。はははっ。」
「え…冗談って…。もう!カオナシさん!!」
あまりの恥ずかしさに顔から火がでそうなくらい熱くなる私。それを見て必死に笑いをこらえるカオナシさん。
「ごめんってば、そんなに怒んないでよ、ね?」
ボクがそう言うと、Aちゃんは頬を膨らませた。顔はまだ真っ赤だ。
はいはい。そんな可愛い顔しないの。
彼女は、もう…。と言いながら寝返りを打った貧乏神のお腹に毛布をかけ直す。
嗚呼、こうしてみてるとボクが父親でAが母親、貧乏神が子供みたいだな〜。なんて馬鹿な戯言を考えながらボクは煙管に再び火をともした。
彼女は、本当に無欲だ。お金が欲しい、とか名声が欲しいとか、そんなことちっとも望まない。そんな彼女からの聞こえてきた欲が羨ましい。カオナシさんみたいなかっこいい兄がほしいな。とかだったらさ、ほんといじめたくなる。
Aが欲しい……か。
あながち間違いじゃないんだよな〜。
僕の口から煙管で吸った煙が出てくる。それは細長く白く伸び、天井まであがり、消えていった。
Aが欲しい…Aと一緒に居たい…って何の欲なんだろ…。“色欲”とはちょっと違うんだよね〜。
そんなことを考えながら僕は煙管を咥えた。
終わり
はい、いかがだったでしょうか。もし、私がカオナシを本編出すなら、“欲にまみれたつかみ所がないロメオ”なキャラで行くと思います。まぁ、たとえばの話ですけどねっ!
では皆さん、良いお年を!
あなたに幸があらんことを!
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レモン(プロフ) - はじめまして、ハクも格好いいけど紫苑の方が可哀相に思えて、紫苑が好きになってきました。これからも応援してます! (2019年1月20日 22時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
しろ - ほほぅ…誤って評価を…ならあなたのかわりに私がいれないでおきます((ニコッ あ!ごめんなさい。誤作動でおしちゃいました★ (2018年12月15日 21時) (レス) id: 7e3c093cf9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し43692号(プロフ) - 作者様から返事が、、!ありがとうございます(^O^) 紫苑君の活躍期待してます!笑 ずっと応援してます(^-^)/ (2016年3月26日 19時) (レス) id: 9d06ba8ba1 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 季紀さん» 季紀さん!?君の手シリーズ読んでました!(`・д・´)売ってる本みたいだなんて…そんなそんな…!ありがとうございます!これからも頑張らせていただきます! (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 名無し43692号さん» ありがとうございます!紫苑君、これから結構活躍するはずです!見届けてあげて下さい!よろしくお願いします!(´▽`)ノ (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もなか | 作成日時:2015年11月19日 1時