番外編 ifの世界で ページ34
「貧乏神も同じなんだ。ボクみたいに欲ではないけど、ボクと同じ疫病神だ。だから、従兄弟みたいってこと。血は繋がってなどね〜。」
そう言いながら、彼は貧乏神君の頬をなでた。其の姿は、まるで本物の兄弟だ。
羨ましいなぁ…。
兄弟というものがいなくては憧れを抱いていた私は、ふとそう思った。それに、相手がカオナシさんなら尚更だ。顔も整ってかっこいいし…。
すると、カオナシさんははっとして私の方を見た。そして、彼の大きな手が私に近づき優しくそっと私の頬を滑った。私の顔が熱を持つ。
「え…。」
びっくりする私に、彼は悪戯っぽく笑った。
「あれ、Aちゃん。今、羨ましいって…。」
「え！？口にでてました！？」
「いーや、ほら、さっき言ったじゃん。ボクは、欲から生まれた欲の塊。だから、色んな奴の欲が聞こえるし、見える。」
すると、先程の優しい顔のカオナシさんは何処へやら妖艶な顔つきで私にじりじりとすり寄ってくる。
「嫉妬、傲慢、怠惰、恨み、睡眠欲、食欲、……それに色欲。」
「カッカオナシさん！？」
私は徐々に壁に追い詰められ、逃げ場を失う。カオナシさんの端正な顔立ちが目の前あり、ドキドキする。
「僕は、常に飢えている。色んな事にね。さっきこんなに食べたのに…もうお腹が空いてきてる。」
「その…ちょっと…近いです。」
カオナシさんは、私の言うことを無視して話し続ける。
「欲の塊の前で、羨ましいなんて思うことは腹の空かせた猛獣の前に肉をぶら下げる行為に等しい。欲を欲する者の欲を満たすことでボクも満たされる。」
「カッカッカオナシさんっ！」
カオナシさんは、目の色を変えて私の両手首を掴み壁に押さえつける。
「嬉しいことに、ボクが今一番欲しているのは“色欲”。可愛い顔して、ボクのことかっこいい…なんて思うからいけないんだよ。」
「なっ…！！カオナシさん、離して下さい。貧乏神君起きちゃいますよ！？」
「あいつ、一旦寝たらしばらく起きないから。」
「でっ、でも。ほ、ほら！“そーゆーこと”ならそれ担当の湯女がおりますし、私はそれ担当ではないですし…。」
カオナシさんは、妖しくフッと笑うと耳元で囁く。
「Aちゃんがいいんだよ。Aちゃん、欲薄だし。………ボク、Aちゃんが欲しい。」
「かっからかわないで下さいっ！」
頬が赤くなるのが自分でも分かる。カオナシさんは、そんな私を見て艶やかに笑った。
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レモン(プロフ) - はじめまして、ハクも格好いいけど紫苑の方が可哀相に思えて、紫苑が好きになってきました。これからも応援してます！ (2019年1月20日 22時) (
レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
しろ - ほほぅ…誤って評価を…ならあなたのかわりに私がいれないでおきます((ﾆｺｯ あ！ごめんなさい。誤作動でおしちゃいました★ (2018年12月15日 21時) (レス) id: 7e3c093cf9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し43692号(プロフ) - 作者様から返事が、、！ありがとうございます(^O^) 紫苑君の活躍期待してます！笑 ずっと応援してます(^-^)/ (2016年3月26日 19時) (レス) id: 9d06ba8ba1 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 季紀さん» 季紀さん！？君の手シリーズ読んでました！(｀・д・´)売ってる本みたいだなんて…そんなそんな…！ありがとうございます！これからも頑張らせていただきます！ (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 名無し43692号さん» ありがとうございます！紫苑君、これから結構活躍するはずです！見届けてあげて下さい！よろしくお願いします！(´▽`)ノ (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もなか | 作成日時：2015年11月19日 1時
