蒼空高く舞わん ページ24
「はぁ…。」
ハクは短く溜め息をついた。本当はこれからAのところに行こうかと思ったが、この時間からは迷惑だろうと思い止めることにした。それにこれから湯婆婆に命令された別の仕事があるため、これから行かなければならなかった。
数年前、ハクは湯婆婆の千尋の手で呪縛から逃れることができた。しかし、湯婆婆の人扱いならぬ神扱いは荒く、丸一日働かされることがざらにある。とんだブラック企業だ。
湯婆婆への、紫苑への皮肉を心の中にこぼしながらハクは油屋を出た。
広がる青空、真っ白な雲、澄み渡り清々しい天気のはずだったが、ハクの心は曇っていた。
「はぁ……。」
何度目の溜息だろうか？再び重いため息をついたハクの姿は真っ白な龍の姿に変わった。
なるべく早く帰ってこなければ、A一人に仕事を任せるのは可哀想だ。
そう思ったハクは、強い風を吹かせ、蒼空高く身体をうねらせ昇った。油屋がどんどん遠ざかっていく。風が頬を、体を滑り、心地よい。
陽の光は、彼を暖かく照らし、空気は高度をますにつれて冷たくなっていったが彼はどんどん高く昇っていった。
一匹の悩める白龍は蒼空を舞う如く泳いでいった。
「いっ今何時！？……うわっ！！」
そう言ってAは飛び起きた。急いで手探りに時計を見てみるととっくに仕事の時間になっている。外はもう真っ暗。元々、覚醒するのに弱いので旅の間も紫苑に起こしてもらっていた。
急いで身支度をして下の階へ降りる。曲がり角を曲がった拍子にお客や、兄役、湯女なんかにぶつかりそうになりながら急いで帳場に向かった。
そこには忙しそうに手を動かす父役の姿があった。
「A様っ！遅いです！」
「ごっごめんなさい！」
急いで机に座り、筆を執る。そこで彼女は気づく。ハクが居ないということに。辺りを見回しているAに気づいたのか父役が早口で言った。
「今日はハク様は、遠出の仕事で不在ですからな…A様…今日は大忙しですぞ…。」
「…はい。」
遠出の仕事か…。
Aは、心の中で呟いた。
六年前から湯婆婆のお使いの為、遠くに行かなければならない仕事はハクの役目だった。Aは、付喪神の一種。ハクのように長距離を移動できる龍みたいな姿にはなれないため、遠出には不向きだった。すべてハクが引き受けた。
そのため、ハクは休む暇もなく働かされて顔色も、顔つきも変わっていた。
大丈夫かな…。
Aの心の中に不安が溢れた。
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レモン(プロフ) - はじめまして、ハクも格好いいけど紫苑の方が可哀相に思えて、紫苑が好きになってきました。これからも応援してます！ (2019年1月20日 22時) (
レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
しろ - ほほぅ…誤って評価を…ならあなたのかわりに私がいれないでおきます((ﾆｺｯ あ！ごめんなさい。誤作動でおしちゃいました★ (2018年12月15日 21時) (レス) id: 7e3c093cf9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し43692号(プロフ) - 作者様から返事が、、！ありがとうございます(^O^) 紫苑君の活躍期待してます！笑 ずっと応援してます(^-^)/ (2016年3月26日 19時) (レス) id: 9d06ba8ba1 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 季紀さん» 季紀さん！？君の手シリーズ読んでました！(｀・д・´)売ってる本みたいだなんて…そんなそんな…！ありがとうございます！これからも頑張らせていただきます！ (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 名無し43692号さん» ありがとうございます！紫苑君、これから結構活躍するはずです！見届けてあげて下さい！よろしくお願いします！(´▽`)ノ (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もなか | 作成日時：2015年11月19日 1時
