螺旋状の思考回路 ページ22
すると、Aの顔はビニョンと伸びた。いきなりしかも結構きつくつねってしまったので、少しだけ拗ねたようにそっぽを向くA。
でも、それはすぐに笑顔に変わる。俺の大好きな笑顔。守ってやりたい笑顔。俺だけに向けてほしい笑顔…。
「やっと笑ってくれたな。」
思っていた言葉がつらつらと出てくる。元々、性格の悪い俺は面と向かって正直に言うことが苦手だった。でも、今は、Aの前では違う。正直になれる。そういうところも好きな理由なのかもしれない。
たわいもない会話。俺にとってのしわあせな時間。何時までもこの時が続いてほしいと傲慢にも思ってしまう。そんなときだった。
「あれ?紫苑。」
そういうと大きくてぱっちりした目がこちらを向く。そして、そのまま彼女は体をこちらに向け、すり寄ってきた。
風呂上がり、普段着よりも薄めの寝間着、しかもすこしはだけているため鎖骨から胸元までが露わになっている。
「なっなっなんだよ!?」
流石の俺も少し後ろに後ずさる。段々心拍数が上昇し、顔に熱が集まった。
「あ、動いちゃ駄目。」
そう言うとAは、俺の髪の毛に手を伸ばす。
「木の葉、ついてたよ。」
そう言う彼女の手には、外を飛んでいたときについたのだろう木の葉があった。Aは、それをゴミ箱の中に入れた。
Aはズルい。俺の気持ちを分かってない。いつも俺だけこんなにドキドキしてるのにこいつは何も分かってない。分かってないのに俺に不意打ちをしてくる。…今みたいに。
あー…うるせーよ…心臓。
赤くなってしまった顔を隠すように俺は勢いよく立ち上がった。
「んじゃぁ、俺戻る。」
窓に差し込む陽の光がだいぶ高いところまで昇っている。
今度は、窓からではなく普通に歩いて部屋に戻ろうと思った俺はドアの方に向かって歩く。
「迷わないでよ?」
「あーい。」
後ろの方から俺を心配する声が聞こえる。俺はいつものように気の抜けた返事で返し、ドアを開け……
「うわぁ!?」
バタン!と俺は開けたはずのドアを閉めた。いつから居たのだろうか?アイツだ。ハクが立っていたのだ。流石の俺でもびっくりする。どこの亡霊だよ!ってぐらい気配も何も無かったから分からなかった。
違う意味で五月蠅くなる心臓。俺の叫びにびっくりしたAもびっくりしている。俺はアイツに会わせたくないから咄嗟に嘘をついた。
「冗談。びっくりした?」
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レモン(プロフ) - はじめまして、ハクも格好いいけど紫苑の方が可哀相に思えて、紫苑が好きになってきました。これからも応援してます! (2019年1月20日 22時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
しろ - ほほぅ…誤って評価を…ならあなたのかわりに私がいれないでおきます((ニコッ あ!ごめんなさい。誤作動でおしちゃいました★ (2018年12月15日 21時) (レス) id: 7e3c093cf9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し43692号(プロフ) - 作者様から返事が、、!ありがとうございます(^O^) 紫苑君の活躍期待してます!笑 ずっと応援してます(^-^)/ (2016年3月26日 19時) (レス) id: 9d06ba8ba1 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 季紀さん» 季紀さん!?君の手シリーズ読んでました!(`・д・´)売ってる本みたいだなんて…そんなそんな…!ありがとうございます!これからも頑張らせていただきます! (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 名無し43692号さん» ありがとうございます!紫苑君、これから結構活躍するはずです!見届けてあげて下さい!よろしくお願いします!(´▽`)ノ (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もなか | 作成日時:2015年11月19日 1時