紺碧の水干 ページ14
「そりゃそうだよ。紫苑、魔法上手だし、何だかんだ手先が器用だし。」
「そうだったんですか！流石！紫苑の兄貴！」
青蛙の口振りからすると紫苑は、此処のみんなとうまくやっているようでAは再びほっとする。“紫苑の兄貴”なんて呼ばれているくらいだきっともう人気者になっているようだ。
ハクは、少し苦虫を噛んだような不機嫌そうな顔をした。しかし、仕事の手はもう動いていて、耳だけが二人の会話に傾いている。
「実はね、旅をしてる間にも足袋が破けたりしたら直してくれたりしたんだよ。」
「へぇーっ！」
「他にも、髪飾りをつくってくれたり…あとは…」
「青蛙。」
二人が話に花を咲かせていたときだった。ハクが少しドスの聞かせた重たい声で話しかけた。青蛙は、少し体を震わせながらハクの方を見る。
「はっはい！ハク様！」
「そろそろ仕事に戻った方がいいんじゃないか？この前みたいに居残りをさせられてしまうぞ？」
そう言うと青蛙は、きゅっと肩をすくませた。はい。と一言返事をして、大急ぎで再び小さな足音を立てながら走り去っていく。
Aは、少し温くなったお茶をグイッと飲んだ。緑茶の苦い味が口に広がり、甘い茶菓子の方に手を伸ばしたがもう食べてしまったことに気づき、再び筆を執る。
お客様や湯女の笑い声が響き渡って、仕事もひと段落したときだった。今度ははっきりと聞こえるくらいのダッダッダッダッと大きな足音が近づいてくる。
ハクは、小さくため息をついたが彼女には聞こえることはなかった。
その足音はだんだん近づき、帳場の前でピタッと止まった。
「おーっいたいたっ！A、探したんだぜ？」
紫苑だ。
そう言いながら軽やかに帳場の机を飛び越え、ハクとAの間に割って入った。
「紫苑！？仕事は？」
「んなもんもう終わったよ。にしても此処本当に広いよなーっ！掃除よりA探す方が骨が折れるっつうかさー。」
そう言いながら、紫苑は、ひょいと帳場の机に腰をかける。着替えさせられたのだろう、彼の黒かった甚平は紺碧の水干に変わっていた。紫苑は、足をぶらぶらさせながら鼻歌を歌う。
「お疲れさまです。」
「おーよ。Aは大丈夫か？コイツに変なことされてねぇだろうな？」
そう言いながら親指でハクの方を指差した。
「コイツではないと言ったはずだ。…それに、指を指さないでくれるか？」
紫苑の身体で見えないが、ハクの不機嫌そうな声がAの耳に入った。
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レモン(プロフ) - はじめまして、ハクも格好いいけど紫苑の方が可哀相に思えて、紫苑が好きになってきました。これからも応援してます！ (2019年1月20日 22時) (
レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
しろ - ほほぅ…誤って評価を…ならあなたのかわりに私がいれないでおきます((ﾆｺｯ あ！ごめんなさい。誤作動でおしちゃいました★ (2018年12月15日 21時) (レス) id: 7e3c093cf9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し43692号(プロフ) - 作者様から返事が、、！ありがとうございます(^O^) 紫苑君の活躍期待してます！笑 ずっと応援してます(^-^)/ (2016年3月26日 19時) (レス) id: 9d06ba8ba1 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 季紀さん» 季紀さん！？君の手シリーズ読んでました！(｀・д・´)売ってる本みたいだなんて…そんなそんな…！ありがとうございます！これからも頑張らせていただきます！ (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 名無し43692号さん» ありがとうございます！紫苑君、これから結構活躍するはずです！見届けてあげて下さい！よろしくお願いします！(´▽`)ノ (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もなか | 作成日時：2015年11月19日 1時
