ご近所物語 II【S.V.T】

68.シュアとお茶 ページ21

JS「はい、どうぞ。インスタントですけど(笑」


『ありがとう(笑』


「『………』」


2人してダイニングテーブルに向かい合って座ったものの、全然会話がない。


シュアはあまり気にしていないみたいで、コーヒーを飲みながらスマホをいじってる。


どうにか…どうにか話題を…


お得意のネットで見た情報から話を…


あ！


『シュアってさ、“シュア”って呼ばれるのと“ジス”って呼ばれるのどっちが好き？』


我ながらアホな質問である。


JS「どっちも自分の本名だからどっちでもいいんですけど。どうしてですか？」


『いや、なんとなくなんだけど、どうせ呼ばれるなら好きな呼ばれ方の方が嬉しいかなーと思って』


そしてさらに馬鹿っぽい質問の動機。


JS「ふふっ。Aヌナはどっちの方が好きですか？」


それにもかかわらず、シュアは嫌な顔一つせずにニコニコしながらこちらに身を乗り出して話を聞いてくれる。


『うーん…どっちも好きだけど、強いて言うなら“シュア”かな！響きがなんか可愛いし！』


そして究極にマヌケな好きな理由を述べてフィニッシュ。


これが乙女ゲームなら好感度だだ下がりであろう。


JS「その理由もなんか可愛いですね(笑」


えぇー何この返答。


シュアは乙女ゲームの中でも特に優しい王子様キャラなんか？


顔も美形で性格もジェントルマンで優しい人なんて二次元にしかいないと思ってた。


私の中で“ジョシュア ＝ 二次元”という方程式ができたところで、もう結構な時間になっていたことに気づいた。


『ごめんシュア。ヌナそろそろ帰るね。コーヒーご馳走さま』


JS「え、ヌナも一緒にご飯食べていけばいいじゃないですか。そろそろメンバーも帰ってきはじめる時間だし」


『ちょっとやらなきゃいけないことがあって。ほんとごめんね(みんなが帰ってくるのが面倒くさそうだなんて言えない)』


JS「そうですか…残念。じゃあ玄関まで送っていきますね」


シュアはそう言って、私の荷物を持ち玄関に向かい始めた。


最後までジェントルマン…

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