あい。 ページ41
水の流れる音が、ただ１つの耳に届く音。
……無言無音、誰も口を閉ざしている。
……正直言って、非常に気まずい。
隣で一緒に皿を洗っている燭台切さんだって、此方から何かを話しかける程関わりはない。
山姥切さんに至っては、初対面だ。
何を話せと、打ち解けろと…？
妙な緊張に何も考えられなくなりながら、ただひたすらお皿を洗っていると……
後ろの机に立て掛けてあった三日月の奥に、誰かが映った。
不思議に思って振り向けば、そこにいたのは……
「…あっ、あの…すみません……あるじさま…」
少しビクビクとしながら、入り口から顔を覗かせている……五虎退君。
予想していなかった人物に、私はポカンと口を開く。
五虎退君の目は、間違いなく私を見ていて……
その上、あるじさま、と言ったのだから。
驚くな、と言われるのが、私には無理な話だ。
それは燭台切さんや山姥切さんもそうだったようで、
驚いたような声を出して、五虎退君を見つめる。
三人もの人に一斉に見つめられた本人はと言えば、
ビクリと肩を震わせて、泣きそうな顔で……
……助けを乞うかのように、私を見た。
その視線にギョッとしながらも、私は皿を洗う手を止めて、声をかけてみる。
「…えっと……どうか、した…？」
戸惑いが色に出てる声音だったが、仕方がない。
私が声をかければ、五虎退君は僅かに唇をグッと結んだ。
………本当にどうしたんだろう…？
尚更不思議がって、首をかしげれば……
「彼は君と話がしたいようだし、ここは僕達に任せて…行ってきてあげなよ」
背後から、燭台切さんの声が聞こえた。
驚いて首だけ振り向けば、私を見下ろす瞳と目が合う。
行ってきな、と言っている瞳に、私は少し遠慮した。
けれど、燭台切さんは顎をクイッと…小さく五虎退君に向ける。
少し悩みつつも、私はその配慮に甘えることにした。
「…すみません。ありがとうございます…」
そう小声で言って、二人に軽くお辞儀をする。
洗いかけのお皿を戻して、パパッと手を洗った私は……
濡れた手で三日月を掴んで、入り口からジッとこちらを見ている五虎退君の元へ小走りで向かった。
「ごめんね、待たせちゃって…」
柔らかな声音でそう言えば、恐縮するように「い、いえ、そんなことはっ…」と弱々しい声が返ってくる。
どうしたの、と聞けば……
「ぁ、えっと……あっ、あるじさまと……話したい、ことがあって…」
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れんり(プロフ) - 燐−Rin−さん» 本当、だッ！！ご指摘ありがとうございます(ごめんよまんばちゃん…)！嬉しいお言葉もありがとうございますッ。とても励みになります！ (2017年7月23日 8時) (
レス) id: e682cb1174 (このIDを非表示/違反報告)
燐−Rin−(プロフ) - コメント失礼しますぅぅぅ内容が濃くてとてもハマりました！ それと、国広の山姥切の【婆】ではなく、【姥】です！失礼しました！ (2017年7月22日 23時) (レス) id: 775928a73b (このIDを非表示/違反報告)
れんり(プロフ) - はせべまゆさん» コメントありがとう……でも何故二回もしたんですか(笑)絶対笑っているでしょう、ちゃんと読んでる？(訳:別に読んで欲しいとか、嬉しいとか思ってないし) (2017年7月17日 21時) (レス) id: e682cb1174 (このIDを非表示/違反報告)
はせべまゆ - 素晴らしすぎる (2017年7月17日 20時) (レス) id: bb40afa781 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 素晴らしい (2017年7月17日 20時) (レス) id: bb40afa781 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れんり | 作成日時：2017年6月30日 17時
