あい。 ページ37
その風貌が、何となく白い子虎に似ている気がして……
私は目を瞬かせて、下の子虎とその短刀の男の子を交互に見つめた。
「この虎………貴方、の…？」
戸惑い気味にも出た声に、その子は更に顔を泣きそうに歪めてこくりと頷いた。
その頷きに、私は更にギョッとして、
どうすればいいんだ！？、と心から思った。
そうして思い付いたことが…………
どうか噛まれませんように噛まれませんように。
そう願い続けながらそっと子虎を両手で抱えて、私は少し身を乗り出し……
「ど、どうぞ……可愛い子虎ですね…」
取り敢えず、子虎を持ち主に返還することを、選択した。
この子……確か、名前は五虎退だっけ。
そんなことを思いながら、素直に抱かれてくれている虎を五虎退君に近付ければ、
彼は驚いたように、目を見開いて固まってしまう。
しかし、中々子虎を受け取らない五虎退君に、
抱えた子虎の横から、どうしたんだろう？ と私が顔を覗かせれば……
「ぁ…すっ、すみません！ありがとうございます…」
消え入りそうな弱々しい声で、そっと子虎の重さが手から消える。
私はふわふわとした感覚が無くなったことに、少し残念さを覚えた。
まぁ、吠えられたり噛まれなかったのは良かったけど……
そう思いながら、私は一応「では」と声を掛けてから、
空の食器を御盆ごと持ち上げて、畳から立ち上がった。
そのまま大広間を出て行こうと歩き始めた所で、私はあることを思い出した。
……そういえば乱君、庭で遊びたいとか言ってたっけ。
まだ小石が転がってたりするから、遊ぶにはちょっと危ないんじゃ……
そう思ったものの、やっと皆で遊べる機会だったかもしれないので……
「…あ、乱君。…庭で遊ぶ時、転ばないように気を付けてね」
出来るだけ怖がらせないよう、自分に出せる最大限の声音で注意を促すだけにした。
突然声を掛けられた乱君が驚いたように私を見上げるが……
ぎこちなく頷いてくれたのを見て、私は笑い返しながら部屋を出た。
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れんり(プロフ) - 燐−Rin−さん» 本当、だッ！！ご指摘ありがとうございます(ごめんよまんばちゃん…)！嬉しいお言葉もありがとうございますッ。とても励みになります！ (2017年7月23日 8時) (
レス) id: e682cb1174 (このIDを非表示/違反報告)
燐−Rin−(プロフ) - コメント失礼しますぅぅぅ内容が濃くてとてもハマりました！ それと、国広の山姥切の【婆】ではなく、【姥】です！失礼しました！ (2017年7月22日 23時) (レス) id: 775928a73b (このIDを非表示/違反報告)
れんり(プロフ) - はせべまゆさん» コメントありがとう……でも何故二回もしたんですか(笑)絶対笑っているでしょう、ちゃんと読んでる？(訳:別に読んで欲しいとか、嬉しいとか思ってないし) (2017年7月17日 21時) (レス) id: e682cb1174 (このIDを非表示/違反報告)
はせべまゆ - 素晴らしすぎる (2017年7月17日 20時) (レス) id: bb40afa781 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 素晴らしい (2017年7月17日 20時) (レス) id: bb40afa781 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れんり | 作成日時：2017年6月30日 17時
