あい。 ページ33
「初めまして……新しく審神者になる、満月花巳です」
目の前のにっかり青江に向けてそう言えば、
「へぇ。知ってるかもしれないけど、僕はにっかり青江。……よろしくね？」
ニコリと笑った彼は、優しげな声音で、私にそう言った。
青江さんの隣に座っている刀剣男子が、ピクリと反応する。
確か短刀の筈の子だけれど、さっきまで私達なんて気にしません…という感じだったのに。
急に反応を示したことが気になって、私は青江さんから視線がそちらに行ってしまう。
そこで、あることに気付いた。
短刀はどうやら、ある程度固まって座っていたようだった。
確か、粟田口……あぁ、藤四郎兄弟か。
その藤四郎達を視線で追っていけば、短刀にしては大きな人に辿り着く。
そこに座って、短刀達と話していたのは……
この前の夜にいた、あの水色の髪の刀剣。
確か刀帳には、一期一振、と書いてあった太刀だ。
……ん？太刀だけど、確かあの人も粟田口派だった。
もしかしたら……兄、かな？見る限り。
だとしたら、なんて優しそうな兄で……
なんて幸せそうな、兄弟だろう。
その時、私は自分が粟田口の兄弟達を見て、
羨ましい、と思っていたことに……気が付かなかった。
それは多分、その幸せそうな兄弟が……
私が自分自身の家族を思い出させるからか、
愛されなかった自分が、“家族”として夢見た光景だったからか、
分からないし、多分、分かりたくない。
追いやられ続けた私が惨めだと、思ってしまいそうになるから。
でも多分、あの刀達も苦しい思いをしてきたんだろうな。
子供のような小さな体にどれだけの傷を作られて、
心を痛め付けられたのだろうか？
だなんて、人の不幸を他人事のように思う私は、きっと性格がひん曲がっている。
それでも、チラリと横を見ればあるあの笑顔の裏に、
想像出来ないくらいの、たくさんの苦しみが隠れていると思えば……
人並みに暗い気持ちになるくらいの私に、心はあるだろう。
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れんり(プロフ) - 燐−Rin−さん» 本当、だッ！！ご指摘ありがとうございます(ごめんよまんばちゃん…)！嬉しいお言葉もありがとうございますッ。とても励みになります！ (2017年7月23日 8時) (
レス) id: e682cb1174 (このIDを非表示/違反報告)
燐−Rin−(プロフ) - コメント失礼しますぅぅぅ内容が濃くてとてもハマりました！ それと、国広の山姥切の【婆】ではなく、【姥】です！失礼しました！ (2017年7月22日 23時) (レス) id: 775928a73b (このIDを非表示/違反報告)
れんり(プロフ) - はせべまゆさん» コメントありがとう……でも何故二回もしたんですか(笑)絶対笑っているでしょう、ちゃんと読んでる？(訳:別に読んで欲しいとか、嬉しいとか思ってないし) (2017年7月17日 21時) (レス) id: e682cb1174 (このIDを非表示/違反報告)
はせべまゆ - 素晴らしすぎる (2017年7月17日 20時) (レス) id: bb40afa781 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 素晴らしい (2017年7月17日 20時) (レス) id: bb40afa781 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れんり | 作成日時：2017年6月30日 17時
